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「パビリオン・ゼロ:空の水族園」レポート。現実と虚構の“境目”を歩く【3/3ページ】

 今回のツアーは抽選制での参加となってしまったが、公園内では各所で「パビリオン・ゼロ:空の水族園」にまつわる展示も実施されている。ツアーには参加が叶わなくとも、布施による《空のチュートリアル》や展示作品を通じて、その概要は伝わるはずだ。

展示風景より、布施琳太郎《空のチュートリアル》 鳥類園ウォッチングセンター1F 
展示風景より、布施琳太郎《あなたと同じかたちをしていたかった海を抱きしめて》 鳥類園ウォッチングセンター1F 
展示風景より、米澤柊《空とあたたかい》 鳥類園ウォッチングセンター2F 
展示風景より、板垣竜馬による作品群 東京水辺ライン発着場 
展示風景より、涌井智仁《HOWL》 

 HMDを装着して公園内を巡りながら、現実と仮想の世界を同時に体験するという展覧会はいままでにないものであった。鑑賞者ごとの映像のズレやオペレーションの難しさといった課題はあれど、この試みの実現は、テンプレ化した「展覧会」という枠組みの拡張にもつながるはずだ。

 加えて、HMDを装着した20数名が公園内を歩き回る光景は、正直傍から見れば異様であり、ツアー参加者は作品を鑑賞しているようでじつは鑑賞されてる存在でもある。美術作品のみにスポットライトを当てることを可能にした美術館のホワイトキューブ空間では、このような体験は起こりにくい。まさに「市外劇=ツアー型展覧会」ということだ。

 なお、この鑑賞する側とされる側の関係性が揺らぐような体験は、現在開催中の現代アートチーム・目[mé]による「LIFE SCAPER in SAITAMA ARTS THEATER」(〜2月24日、彩の国さいたま芸術劇場)にも重なる部分がある。

編集部

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