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「パビリオン・ゼロ:空の水族園」レポート。現実と虚構の“境目”を歩く【2/3ページ】

 「空」(*)というテーマで作品やパフォーマンスを展開するのは、布施琳太郎、米澤柊、板垣竜馬、涌井智仁、黒澤こはる、倉知朋之介、雨宮庸介(形式提供)、米村優人、青柳菜摘らだ。ツアーの内容に沿って、その一部を紹介したい。

実施風景より 

 ツアーは布施の先導と語りによって進められる。スタート地点の鳥類園ウォッチングセンターから東京水辺ラインの発着場までの道のりでは、不思議な生命が空中を飛び回る米澤柊によるアニメーションがARで上映されるほか、倉知朋之介や米村優人によるパフォーマンスが歩くのと同じタイムラインのなかで実施されていく。

実施風景より、倉知朋之介《フリーフリッパー》 
実施風景より、米村優人《あいつらのこと(M-Seaside)》 

 同じように、東京水辺ラインの発着場では「私が泣いているのに気づいてた?」と参加者に対して声を荒げる黒澤こはるによるパフォーマンス、そして船内では雨宮庸介の人生最終作のための公開練習《For The Swan Song A》が布施によって行われる。

 この一連のツアーで見られたパフォーマンスは、何か合図があって始まるというよりは、歩いているうちにいつの間にかそこ(布施の言葉を借りるならば、現実と虚構の境目)に混ざり込んでしまうというニュアンスに近い。

実施風景より、黒澤こはる《ショーケース越しの逢瀬》 東京水辺ライン発着場 
実施風景より、布施琳太郎によるパフォーマンス 東京水辺ライン内 

 布施によるパフォーマンスが終わると、突如、青柳菜摘からの着信がある。それから参加者らは船上にあがり、東京湾を臨みながら青柳による詩《ぼくは戦争を手に入れた》の朗読に耳を傾ける。

実施風景より、青柳菜摘《ぼくは戦争を手に入れた》 東京水辺ライン内 

*──展覧会タイトルにもある「空」というテーマは、谷口吉生が初期段階に構想していた公園内各所に展示パビリオンが点在する形式から想像を膨らませた「空=ソラ」(もしかすると、水族園が空中にあったかもしれない)、そして2028年を目処に現行の水族館が機能を停止してしまう「空=カラ」(水族館が空っぽになる)から定められた。

編集部

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