布施琳太郎による「パビリオン・ゼロ」が葛西臨海公園などで開催。20名以上のアーティストが参加

シビック・クリエイティブ・スペース東京[CCBT]の2024年度フェローである布施琳太郎による成果発表「パビリオン・ゼロ」が、東京・江戸川区の葛西臨海公園や渋谷などで開催される。会期は1月31日〜3月23日。

メインビジュアル

 東京・渋谷のシビック・クリエイティブ・スペース東京[CCBT]の2024年度フェローである布施琳太郎による成果発表「パビリオン・ゼロ」が、東京・江戸川区の葛西臨海公園や渋谷などで開催される。会期は1月31日〜3月23日。

布施琳太郎

 CCBTのアーティスト・フェローはCCBTを拠点に企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ等の活動を実施する、CCBTのパートナーだ。制作費や制作スペースの提供、技術やマネジメントのサポート、専門家によるアドバイスなどをCCBTから受けられる。

 今回の成果発表に際して布施はCCBTで記者会見を開催。これまでの自身の活動を紹介しつつ、「架空の水族園構想」「プラネタリウムにおける観測報告」「新たな美術雑誌の刊行」の3つの企画からなる「パビリオン・ゼロ」を発表した。本企画は、大阪・関西万博に対して布施が感じた「違和感」のようなものが出発点になっているという。発表されたロゴデザインはデザイナー・八木幣二郎が手がけ、パビリオンの語源である「蝶」をイメージしたものとなった。

「パビリオン・ゼロ」ロゴマーク

 ひとつめの「架空の水族園構想」は「パブリオン・ゼロ:空の水族園」とした、市街劇=ツアー型展覧会だ。2月8日、9日に葛西臨海公園で開催される。同公園には葛西臨海水族園のガラスドームや、レストハウス、東京水辺ラインの発着場といった谷口吉生建築が存在する。布施はこうした谷口によるパビリオンの場としての想像力に着目。鑑賞者はヘッドマウントディスプレイを装着し、公園内や船上で体験でき、現実の景色と作品が交錯するという。

 本企画はツアーガイド、企画、演出、脚本を布施が行い、米澤柊、板垣竜馬、涌井智仁、小松千倫、黒澤こはる、倉知朋之介、雨宮庸介(形式提供)、米村優人、青柳菜摘、田中勘太郎、そして布施らがコンテンツ制作、展示、パフォーマンスなどで参加する。

布施琳太郎

 「プラネタリウムにおける観測報告」はコスモプラネタリウム渋谷で「観察報告:空の証言」として3月15日に開催。「パブリオン・ゼロ:空の水族園」のアーカイヴを、映像と語りによってリフレインする試みになるという。

 そして「新たな美術雑誌の刊行」としては、雑誌『ドリームアイランド』を刊行する。布施は美術についての批評や言説の不在を念頭に、それらの営みの足場をつくるための「1次資料」を用意することをこの雑誌で試みるという。具体的には、対象に直接的に出会って行う聞き取りや、制作などで蓄積されたアーティストらの生の言葉がこれに当たる。刊行は3月11日に予定しており、限定500冊を無料頒布するとともにPDF版も公開する。

 また、これらの企画の資料室として「パビリオン・ゼロの資料室」がCCBTで3月11日〜23日に開催される。

 なお、今年度のCCBTのアーティスト・フェローによる成果発表は、ほかにもHUMAN AWESOME ERROR「Super Cells Infinite」(CCBT、2月11日〜24日)、柴田祐輔+Token Art Center「続・代替屋」(Salon de Zuppa、2月21日〜3月9日)、MVMNT「TOKYO [UN] REAL ESTATE」(CCBT、2月28日〜3月9日)、市原えつこ「ディストピア・ランド」(CCBT、3月1日〜16日)などが予定されている。

編集部

Exhibition Ranking