• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」(東京ステーションギ…

「宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」(東京ステーションギャラリー)レポート。領域を超越した“布絵”の豊かな芸術性【2/4ページ】

モティーフとまなざし

 日常を崩さない創作をめざした彼女のモティーフは、野菜や魚といった主婦が日々目にする、生活に密着した誰もが見慣れた親しみやすいものだ。しかし、それらは徹底した観察とそれを写し取る写実を基本とした。珍しい食材をもらったりすると料理の前に観察が始まり、家族はそれが終わるまでお預けを食らうこともしばしばだったとか。こだわりは色や形のみならず、個々のパーツや構造にまで至り、果実や野菜などの断面、魚や鳥の表裏、多様な角度や、身を取った後の姿にも及んでいる。そのまなざしは、同じ食材でも個々の違いや微妙な変化をも見逃すことがなかった。

 「1. 観察と写実」「2. 断面と展開」「3. 多様性」では、身近な生物への宮脇のあくなき探求心と美を見いだす眼を作品に追う。

「1. 観察と写実」展示風景より、左から《椎茸》(1975、豊田市美術館)、《あさがほ 紅蜀葵 かぼちゃ》(個人蔵)
「2. 断面と展開」展示風景より
「3. 多様性」展示風景より
「3. 多様性」展示風景より、左から《フィルターのするめ》(1985)、《小鯛の干もの》(1978)、《骨・美味なり》(1986、いずれも豊田市美術館蔵)

編集部

Exhibition Ranking