本展は9章構成で、各章のテーマに沿って東野の著作を引きながら、その批評と思想をたどるものだ。第1章「『グロッタの画家』まで」では、東野が「パウル・クレエ試論」で『美術批評』の新人評論募集の第1席を獲得し、怪奇・幻想的な画家を取り上げのちに初の著書となる『グロッタの画家』までの歩みを紹介。
パウル・クレー、サルバドール・ダリ、マックス・エルンストといった西欧の画家から、前田常作、小山田二郎、小野忠弘、利根川光人といった当時の日本の前衛画家までを展示し、東野の初期の仕事を振り返る。
第2章「『パスポート・NO.328309』 初渡欧・初渡米」では、東野とアメリカ現代美術の出会いをたどる。ヴェネチア・ビエンナーレ展の副代表としてヨーロッパを訪れて1年半を同地で過ごし、さらにアメリカ現代美術の現場を見るために渡米をする。アメリカではジャスパー・ジョーンズやロバート・ラウシェンバーグらと邂逅し、以降の東野のアメリカ現代美術への興味を決定づけることになった。