• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「没後20年 東野芳明と戦後美術」(富山県美術館)開幕レポート…

「没後20年 東野芳明と戦後美術」(富山県美術館)開幕レポート。現代美術の伴走者の足跡を珠玉の収蔵品とたどる【4/6ページ】

 第4章「『アメリカ「虚像培養国誌」』60年代アメリカ/日本」は、東野が現代美術の中心地であるアメリカに幾度もわたり、60年代の観念的な傾向を強めるアメリカ美術を鋭く批評した事例を紹介。

展示風景より、第4章「『アメリカ「虚像培養国誌」』60年代アメリカ/日本」

 何よりもこの時代のアメリカ現代美術の代表ともいえるのが、アンディ・ウォーホルだ。東野はウォーホルらの活動を紹介するいっぽうで、美術とデザインの境目があいまいになっていく時代の空気をそのテキストでとらえた。東野は当時、デザイナーから美術家になろうとする横尾忠則などを例に挙げながら次のように書く。

「デザインと美術の固くるしい差別を一度御破産にして、どちらも芸術として、あるいはどちらもデザインとして眺めなおして見る方が必要なのではあるまいか」(東野芳明「美術とデザインの間」『色彩と空間展』テキスト、1969)

 会場に並んだ、フィリップ・キングや山口勝弘の作品を見ながら、いまもこのときの提示の有効性が確認できるだろう。

展示風景より、第4章「『アメリカ「虚像培養国誌」』60年代アメリカ/日本」

 第5章「『マルセル・デュシャン』 現代美術の原基」は、東野が生涯にわたって研究を続けた、現代美術の始祖とされるマルセル・デュシャンを特集。東野がどのようにデュシャンをとらえ、実際に交流をしていたのかを知ることができる。

展示風景より、第5章「『マルセル・デュシャン』 現代美術の原基」

編集部

Exhibition Ranking