第3章「『現代美術 ポロック以後』 ヤンガー・ジェネレーションの冒険」では、帰国後に東野が連載を始め、のちに『現代美術 ポロック以後』(美術出版社)として単著になった、同時代の芸術家に焦点を当てた本格的な作家論を紹介。
ここではジャクソン・ポロック、アントニ・タピエス、ルイーズ・ネヴェルスン、ジャン・デュビュッフェ、ルーチョ・フォンタナ、ジャン・フォートリエなど、当時東野が着目した作家たちの作品が富山県美術館のコレクションから紹介されている。いずれも、いまとなっては歴史的作家だが、東野の時代はまさに同時代の作家たちだった。こうした欧米の動向を日本で紹介するのも東野の重要な仕事であり、ラウシェンバーグ、フォートリエ、ジャン・ティンゲリーらが日本で個展を行う際は、東野が重要な枠割を果たした。
また東野は、同い年ということもあり、とくにジャスパー・ジョーンズを重要な作家として扱い個人的にも親交を結んだ。本展ではふたりの親交を伝えるかのように、各章の数字に沿ってジョーンズの「黒の数字」シリーズ(1968)が展示されているので、こちらも注目したい。