具体から若手作家まで。新たな大林組大阪本店を彩るアート作品

大手ゼネコンの大林組。その大阪本店が新たなビルに移転するのに伴い、事務所内のアート作品が公開された。

「O-Cafe」展示風景より、油野愛子の《THE HOUSE(every time, everywhere. your place to stay is in your mind.)》(2022)

 ゼネコンの雄として知られ、日本を代表するアートコレクター・大林剛郎が率いる大林組。同社の大阪本店事務所が2023年1月、日本生命淀屋橋ビルに移転する。その内部を彩るのが、数々のアート作品だ。

 まずはこの高層ビルの外構プロムナードに注目したい。誰もが通ることができるこのエリアには、青木野枝による巨大なパブリック・アート、《空の粒子》《パッセージ》(ともに2022)が設置された。工業用の鉄板を円などの基本となるかたちに切り出し、それらをつなぎ合わせるように溶接した彫刻作品を手がけてきた青木。大作がオフィスビルに心地よいリズムを与えている。

青木野枝によるパブリック・アート

 来客者も入館できる3階の「O-Cafe」には、今西真也、土取郁香、椿野成身、大和美緒、油野愛子といった90年代生まれの若手作家の新作が数多く並び、木とグリーンにあふれた空間にアクセントを与えるように展示されている。

「O-Cafe」展示風景より、今西真也《Light 25》(2022)
「O-Cafe」展示風景より、土取郁香《the other half/perfect circle》(2022)

 注目したいのが地下1階だ。ここには、1973年に西日本最初の超高層ビルである「大阪大林ビル」が完成した際、その最上階に誕生したフレンチレストラン「ルポンドシエル」が移転。食とともにアートが主役のレストランとなった。

 アントニー・ゴームリーの立体作品が迎える地下1階のサンクンガーデン受付をくぐると、その先にはレストランには珍しいホワイトキューブのギャラリー「THE BRIDGE」がある。このギャラリーは企画展等を行う事で様々なアートを展示。報道内覧会時には田名網敬一による絵画作品群が壁を埋めていた。レストランに入る誰もが通る場所にギャラリーを配するという非常に珍しい構造だ。

 「ルポンドシエル」はその内部もまるで隠れ家のようでユニークだ。通路、ワインセラー、オープンキッチン、そして大小の個室には、それぞれ作品を展示。吉原治良、元永定正、松谷武判といった具体美術協会の作家のほか、オノサトシノブ、高松次郎、斎藤義重、山口長男、桑田卓郎らの作品が随所に配され、まさに「アート」と「食」が融合した空間となっている。大阪に行った際は一度は訪れてみたいアートスポットだ。

「ルポンドシエル」展示風景より、桑田卓郎《THE BOWL2021》(2021)
「ルポンドシエル」展示風景より、オープンキッチンにある吉原治良《作品(1967)》(1967)
「ルポンドシエル」展示風景より、ワインセラーの奥には元永定正の《無題》(1969)
「ルポンドシエル」展示風景より、個室内部にある山口長男《台形》(1960)
「ルポンドシエル」展示風景より、個室内部にある斎藤義重《赤の作品》(1972)

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