山口長男(1902〜83)は、京城府(現・韓国ソウル)生まれ。21年に19歳で日本に来るまで、同地で過ごした。日本の抽象絵画の先駆的な開拓者の一人とされており、黒の地色の上に、黄土色や赤茶色の絵具を厚塗りした独自の抽象作品がその特徴だ。
60年代にはニューヨークのグッゲンハイム美術館や、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に所蔵されるなど、早くから世界の注目を集めた作家としても知られている。
サザビーズ香港では、近年世界のコンテンポラリーアートシーンにおける日本の戦後美術への評価と関心の高まりを受け、後世の作家に大きな影響を与えた山口長男にスポットライトをあてた特別オークションを開催。同社は「山口が現代美術史に与えた影響は計り知れず、今回のオークションがその重要性を世界に向け発信する機会となることに期待しています」としている。
なお、出品作品は《趺坐》(予想落札価格:100万〜150万香港ドル、約1400〜2100万円)など計28点。