「Tokyo Gendai 2025」開幕レポート。厳しい市場だからこそ試される「支え合いの精神」【2/3ページ】

 初日の9月11日、午後には東京・神奈川で記録的な短時間の大雨の影響もあり、出展ギャラリー関係者からは「来場者数が昨年より減少した」との声が多く聞かれた。会場では木村絵理子弘前れんが倉庫美術館館長)や椿玲子(森美術館キュレーター)ら美術館関係者、大林剛郎(大林組会長)、パトリック・サン(サンプライド・ファンデーション創設者)などのコレクターの姿も確認されたが、前2回と比べると国際的な美術館関係者や観客の数は明らかに減っていた。

 開幕初日には、日本のギャラリーから比較的堅調な販売報告が寄せられた。KOTARO NUKAGAでは、松山智一の絵画(10万米ドル超)や松川朋奈の絵画2点(100万〜300万円)、森本啓太の絵画3点、レンベル・ヤワルカーニの絵画(3万5000〜4万米ドル)、小金沢健人のドローイング7点(約30万円)など、合わせて約20点の作品が成約した。オーナーの額賀古太郎は「アートマーケット全体としては決して良好とは言えない。待っていれば売れるという状況ではなく、やはり顧客との密なコンタクトが重要。スタッフがコレクターと良好な関係を築けるようになったことが大きい」と語る。

KOTARO NUKAGAのブース

 メガギャラリーのPaceも、初日にブースの過半数を販売したと伝えられる。購入者の多くは日本のコレクターで、ジュール・ド・バランクールの絵画(15万ドル)をはじめ、アレハンドロ・ピニェイロ・ベロ、ギデオン・アパー、エルムグリーン&ドラッグセット、岡﨑乾二郎ミカ・タジマといった作家の作品が取引されたという。Pace東京ディレクターの服部今日子は「知らない作家の作品に高額を払う判断を下すのは難しい。グローバルな視点では市場全体に停滞感があるいっぽう、日本は美術収集の素地があり、安定したマーケットだと感じている」とコメントしている。

Paceのブース

 NANZUKAはタイの作家ペックス・ピタックポンによる大型絵画4点や大平龍一の彫刻数点を販売。シュウゴアーツでも10点以上が成約し、そのなかにはベルギーやオーストラリアのコレクターも含まれていたという。

NANZUKAのブース
シュウゴアーツのブース

編集部