「TEFAFニューヨーク2020」が開催中止へ。「フェアの開催は最善の利益ではない」

新型コロナウイルスの影響で今年5月から10月に開催延期されたアートフェア「TEFAFニューヨーク2020」が、中止となることが決定した。

TEFAFニューヨーク・スプリング2019の様子 Photo by Mark Niedermann

 今年5月に開催予定だったものの、新型コロナウイルスの影響で10月に延期されていたアートフェア「TEFAFニューヨーク2020」が、中止となる。

 TEFAF(The European Fine Art Fair)は、1988年にオランダ・マーストリヒトに設立され、美術、骨董、デザインを中心としたアートフェア。2016年10月、古美術から戦後初期の美術・装飾美術に焦点を当てた「TEFAFニューヨーク・フォール」がニューヨークにスタートし、翌年5月、近代・現代美術、デザインに特化した「TEFAFニューヨーク・スプリング」が初めて開催された。

TEFAFニューヨークの会場であるパーク・アベニュー・アーモリー Photo by Mark Niedermann

 中止の理由について、主催者は声明文でこう述べている。「TEFAFは、安全で成功したイベントを開催できるように、多くのプロトコルを考慮しながら、ソーシャル・ディスタンスに配慮したフェアを秋に向けて計画することに懸命に取り組んできた。こうした努力にもかかわらず、TEFAFニューヨーク2020の開催は不可能との結論に至った」。

 今年3月にオランダで開催された「TEFAFマーストリヒト」は、出展者が新型コロナウイルスに感染したために会期途中で急遽閉幕。フェアのマネージング・ディレクターであるソフィー・シェアリンクはこう続ける。「10月のパーク・アベニュー・アーモリーに出展者、来場者、スポンサー、同業者、パートナーを歓迎したいと思っていたが、健康と安全に関する不確実性、建物の利用制限、ヴェルニサージの中止、海外旅行の制限、ニューヨーク市の厳しい再開計画などから、今回のフェアの開催はTEFAFコミュニティーにとって最善の利益ではないと私たちは確信している」。

TEFAFニューヨーク・スプリング2019の様子 Photo by Mark Niedermann

 同フェアは、出展ギャラリーに出展料の全額を返金。また、リアルなアートフェアの代替としてオンライン・ビューイング・ルームを設立することも予定している。

 今秋の開催を予定していた「アート・バーゼル」や「フリーズ・ロンドン」など主要なアートフェアは、相次ぎ中止となった。10月に予定されているパリの「FIAC」や、11月上海の「ウェストバンド・アート&デザイン」と「ART021」は開催決行を予定しているが、その行方は依然不透明だ。

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