政府が7月21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太の方針)で、「メディア芸術ナショナルセンター(仮称)」の機能を有する拠点の整備が明記された。
同方針では、「文化芸術・スポーツの振興」の項目で文化・スポーツが持つ力を「経済活性化の強力な原動力」と位置づけ。文化財の保存・修理、舞台芸術の振興、博物館・劇場などの機能強化とともに、マンガ、実写映画、音楽など、現在のコンテンツの源流となった明治・大正・昭和期の資料を散逸させず、デジタルアーカイブ化する方針を示している。
そのうえで、「官民連携によるメディア芸術ナショナルセンター(仮称)の機能を有する拠点整備」を進めるとした。クリエイターの制作・発信過程を通じた育成や、関連人材の育成、海賊版対策の強化もあわせて盛り込まれている。
メディア芸術ナショナルセンターが重点的に扱うのは、完成した作品だけではない。マンガの原画やネーム、アニメの原画やセル画、背景美術、特撮のミニチュアや合成素材、ゲームの企画書やキャラクター設定資料など、作品の制作過程で生み出される「中間生成物」も対象となる。
こうした資料は、作品がどのようにつくられたのかを伝える重要な一次資料であるいっぽう、作品完成後に廃棄されるケースも少なくない。資料の散逸や劣化が進むなか、体系的な整理・保存・活用の枠組みを構築を望む声が、センター構想の背景にある。
文化庁が示した構想では、センターは「収集・保存」「調査研究」「人材育成・教育普及」「情報発信」「展示・活用」「普及交流」という6つの機能を担う。資料を1ヶ所に集約するだけでなく、全国の文化施設や大学、自治体、産業界と連携するハブとして、所蔵情報の把握やアーカイブへのアクセス支援、キュレーターやアーキビストの育成、国内外での展示などを進めることが想定されている。
構想に関連する具体的な動きも始まっている。収蔵施設は、神奈川県相模原市にある国立映画アーカイブ相模原分館の敷地内での建築を計画。基本設計に続き、実施設計に向けた準備を進めている。
これまで文化庁は、2023年度にマンガ家・ちばてつやの原画などを対象に、整理・保存・活用方法の調査研究を実施。翌年度から対象をアニメ、特撮、ゲームへと広げ、アニメ制作資料の整理・保存手法や、アーケードゲームをはじめとするゲーム関連資料の保存について検討を重ねてきた。
今回の「骨太の方針」では、拠点の場所や規模、運営主体、開設時期、予算などの詳細は示されていない。今後は、収蔵施設と展示・研究・教育機能をどのように結びつけるのか、また民間が保有する膨大な資料の権利処理や公開、利用の仕組みをどう設計するのかが議論の焦点となるだろう。





















