文化庁が2023(令和5)年度予算の概算要求を発表した。22年度比で25.5パーセント増の1350億円を計上する。キーポイントを見ていこう。
今回の概算要求では、大きな項目の「⽂化芸術のグローバル展開、DXの推進、 活動基盤の強化」として、301億円(+事項要求)を計上(前年度は223億円)。そのうち「文化芸術の創造的環境の創出」(21億円)は、今年3月にまとめられた第1期文化経済部会の報告書の内容を具現化していくための予算だ。その内訳は、文化芸術のエコシステムの形成促進として、⽂化芸術事業を実施する事業主体を対象に課題解決に向けた伴⾛型⽀援を実施する「⽂化芸術の⾃律的運営促進事業」(4億円)のほか、文化芸術振興のための資金調達には欠かせない寄附を促進させるための環境整備である「⽂化芸術への寄附促進実証事業」(1.2億円)、「美術品の管理適正化のためのシステム開発事業」(4500万円)、「公的鑑定評価制度の創設に係る基盤整備・実証・取引実態調査」(2500万円)などが盛り込まれている。
また、依然国際的なプレゼンスが低い日本のアートシーンを後押しするため、「国際的なアートフェアの誘致に向けた我が国アートシーンの発信」に3億円を新規計上。期待される国際的なアートフェアの本格的な誘致に向けた情報発信やネットワーク形成、ノウハウの習得を図るという。また日本から海外に向けては「国際拠点化事業の推進⽀援(補助⾦)」(1.1億円)で海外アートフェアへの出展を支援し、出展件数を現在の15件から22件まで増加させる。
博物館法の70年ぶりの大幅改正を受け、「博物館機能強化の推進」には14.7億円が計上。博物館のデジタル・アーカイブ化や、博物館が地域と連携する取り組みを⽀援するものとなる。また「国⽴⽂化施設の機能強化等」(367億円)」には、管理運営が宮内庁から国立文化財機構に移管する三の丸尚蔵館の運営整備として12億円を計上。独⽴⾏政法⼈国⽴美術館が新設する「国⽴アートリサーチセンター(仮称)」(アート・コミュニケーション・センター(仮称)から改称)は前年度比でほぼ2倍の増額要求となり、15億円が計上された。
今回の予算では舞台芸術にも注目したい。122億円を新規計上する「舞台芸術等総合支援事業」は、これまで様々な切り口で存在していた各種事業を整理したもので、従来の各公演等ごとの⽀援から芸術団体等への⽀援にスキームを改善する。
予算が大きく増えたのが「⽂化部活動改⾰」(16億円)。国は令和5年度以降、公立中学校の休日の運動部活動を段階的に地域のスポーツクラブなどに移行する方針を示している。文化部活動についても文化庁は「文化部活動の地域移行に関する検討会議」を設置し、運動部同様、地域に受け皿を移していく提言をまとめた。この予算ではコーディネーターや地域活動における指導者の配置、参加費⽤負担への⽀援などを行い、移行をスムーズに推進させることを目指す。