文化庁が2022(令和4)年度の予算概算要求を発表した。21年度比で22パーセント増となる、1311億円を計上する。
今回の概算要求では、コロナ禍によって影響を受けている文化芸術団体や文化施設等を支援する「コロナ禍の文化芸術活動等の継続・発展等支援」については、あらかじめ数字を決めない事項要求として盛り込まれた。
予算が大きく増えたのが、「芸術教育体験・文化芸術の担い手育成」の146億円(21年度は88億円)だ。このうち、新規事業となる「文化芸術による子供育成推進事業」には79億円が計上。山間、へき地、離島など、鑑賞機会に恵まれない地域に存する小学校・中学校・特別支援学校等を対象に、実演芸術公演を複数回実施する巡回公演事業を2500公演程度実施するほか、3150件程度の芸術家派遣を行う。
同じく子供を対象とした事業として、18歳以下の子供が無料で鑑賞できる劇場・音楽堂等で行われる舞台公演を支援する「子供文化芸術活動支援事業」に20億円が計上された。
新規予算として注目したいのは、「美術品DXによる管理適正化・市場活性化推進事業」の5000万円。これは、日本の美術品を「ナショナル・コレクション」として国内外に発信するため、美術館・博物館における管理の徹底と民間所有の美術品の捕捉をDX(デジタル・トランスフォーメーション)によって実現するというもので、令和4~9年度の5ヶ年に渡って予算が組まれる予定。22年度では、文化財・美術品の受け入れから処分にかかる業務の標準化、ICタグ、DB等の共通化等を検討するという。
同じく新規予算では、「日本博イノベーション型プロジェクト」の9億4000万円がある。「日本博」は東京五輪の開催を契機に、「日本の美」を国内外に発信することを目的に進められてきた大型プロジェクト。これを22年度も継続し、40件程度を実施する。