ロシアによるウクライナ侵攻における中国の立ち位置が、文化の側面でも影響を与えている。
サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、フランス・ノール県の地方行政機関は、今月末に北京のユーレンス現代美術センター(UCCA)で開催されるアンリ・マティスの大規模な展覧会に作品の貸し出しを中止したという。
本展は、マティスの中国における過去最大規模の個展。ノール県のル・カトー=カンブレシにあるマティス美術館の協力のもと、同館が所蔵するマティスの油絵、彫刻、版画、スケッチなど、約300点の作品を北京のUCCA本館(3月~6月)と上海分館(7月~10月)で展示する予定だった。
UCCAの声明文によると、同館は、ノール県が中国との文化交流の停止を発表したことは認めたが、貸し出し中止についてはまだ正式な通知を受けていないという。現在は、展覧会の準備を一時的に中断させており、今後は「国際的な文化交流に深くコミットし、北京と上海の両方で後日展覧会を再調整できるよう、フランスのパートナーと積極的に協力していく」。
同館は「美術手帖」に対し、「誠に残念ながら、現在は(フランス側の)通知を待つしかない」としつつ、これ以上のコメントを避けた。
サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、ノール県は中国とロシアとの関係を理由に、追って通知があるまで中国の美術館とのすべての協力を停止すると発表しているという。
北京2022オリンピック開会式当日の2月4日、中国の習近平国家主席はプーチン大統領と北京で会談し、両国の戦略的パートナーシップを無制限に結ぶことに合意した。会談後に発表された声明では、中国はロシアに対して「NATO(北大西洋条約機構)のさらなる拡大に反対する」ことを明確に支持した。
また、3月2日に国連総会で行われたロシアのウクライナ侵攻を非難する投票において中国は棄権し、現在までロシアの軍事行動を「侵略」と称することを拒み続けている。