色と空間を冒険するアーティスト。フランシス真悟の国内初となる大規模個展が茅ヶ崎市美術館で開催へ

絵画のメディウムを実験的に扱い、色と空間を冒険するかのように作品を制作してきた現代アーティスト・フランシス真悟。その国内初となる大規模個展「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」が、神奈川の茅ヶ崎市美術館で開催される。会期は3月30日~6月9日。

Bound for Eternity (red) 2008 Photo by Photo Studio Nishiyama

 ロサンゼルスと鎌倉を拠点に、世界的に活躍している現代アーティスト・フランシス真悟。その国内初となる大規模個展「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」が、3月30日~6月9日の会期で神奈川の茅ヶ崎市美術館にて開催される。

 アメリカ・サンタモニカ生まれのフランシス真悟は、日本とアメリカをルーツにもち、幼少期より色彩がもつ豊かさに触れ、色彩が人にもたらす知覚体験について探求し続けてきた。父はアメリカの抽象表現主義の巨匠サム・フランシス、母はメディア・アーティストの出光真子という環境のなかで育ち、そして、若い頃にライト&スペース・アートのジェームズ・タレルや抽象表現主義のジョアン・ミッチェルと出会い、大きな影響を受けた。

フランシス真悟

 本展では、フランシスの1980年代の初期からの多様な絵画作品、約100点が一堂に会する。例えば代表作シリーズの「Interference」は、絵画の顔料に含まれる粒子に光が反射し、観る人の角度より様々に表情を変える作品として知られている。昨年、同シリーズのひとつとして銀座エルメス フォーラムで発表された7メートルにもおよぶ壁画作品《Liminal Shifts》は、建築家レンゾ・ピアノが設計したガラスづくりの展示空間に差し込む光を受け、刻々と姿を変えることで大きな話題を呼んだ。

Liminal Shifts 2023 Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès © Nacása & Partners Inc.

 「Blue’s Silence」シリーズは、哲学的な思想のもと青一色で塗りこめた画面により瞑想的な空間をつくり出す。「Infinite Space」シリーズは二次元の絵画のなかに多次元な世界をイメージさせ、ロサンゼルスでのコロナ禍の閉塞的な状況に抗うかのような思いで描いた「Daily Drawing」シリーズは、鮮やかな色彩による日記とも言える。

 また本展では、同館の自然光が差し込む展示空間を活かした本展のためにつくられた新作約10点も発表。絵画のメディウムを実験的に扱い、色と空間を冒険するかのように作品を制作するフランシスの創造を目撃してほしい。

Blue's Silence (still) 2007 Photo by Photo Studio Nishiyama
Infinite Space (scarlet-yellow) 2017-18 Photo by Keizo Kioku
First Impression in Square 2019 Photo by Keizo Kioku

編集部

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