2019.9.29

絵画の前に立つことでしか得られない体験。フランシス真悟の個展がMISA SHIN GALLERYで開催中

重層的な青の抽象画や深い色彩のモノクローム作品で知られるフランシス真悟の個展「Subtle Impressions」が、東京・南麻布のMISA SHIN GALLERYで開催されている。会期は11月2日まで。

フランシス真悟 Subtle Impression(violet, gold and viridian) 2019

 重層的な青の抽象画や深い色彩のモノクローム作品によって、絵画における空間の広がりや精神性を探求するフランシス真悟の個展「Subtle Impressions」が、東京・南麻布のMISA SHIN GALLERYで開催されている。会期は11月2日まで。

 フランシスは1969年カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。92年にクレアモント・ピッツァーカレッジにて美術学士号を、2017年にパサデナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで美術学修士号を取得した。現在はロサンゼルスと横浜を拠点に活動を行っている。

 96年にはキュレーション団体Hatch Artを設立し、ロサンゼルスと横浜で展覧会の企画に携わったフランシス。06年にはニューヨークでアーティスト・イン・レジデンス「Art Omi International」に参加した。

 これまでアメリカやスペイン、日本での個展開催のほか、「抽象と形態:何処までも顕れないもの」 (DIC 川村記念美術館、千葉、2012)、「レイヤー・オブ・ネイチャー」(セゾン現代美術館、軽井沢、2018)、「Emergence: Art and the Incarnation of Space」(マーティン美術館、テキサス、2019)など、国内外で数多くのグループ展にも参加してきた。その作品は、スペイン銀行やフレデリック・R・ワイズマン財団、森アーツセンターなどに収蔵されている。

 近年フランシスが取り組んでいる「Interference」シリーズは、特殊な素材が引き起こす光の干渉によって、絵具の複数の層に光が通り、見る角度によって様々な色が立ち現れるペインティングだ。色彩が主張することなく、キャンバスが光で満たされたように見える本シリーズは、作品に近づくと光の反射や屈折により豊かな表情を見せる。

 スマートフォンなどで作品を撮影し、簡単にその画像を送ったりSNSに投稿することができる今日、実際に作品を見ることなく、ディスプレイのなかの画像だけで判断してしまうことを危惧しているというフランシス。本展に展示されている新作は、絵画の前に立ち、角度によって深みを増す色彩や、動きに呼応して変化するマチエール(質感)など、そこでしか感じることのできない絵画体験を得ることができる。