大阪・吹田の国立民族学博物館で、みんぱく創設50周年記念企画展「水俣病を伝える」が開催される。会期は3月14日~6月18日。プロジェクトリーダーは平井京之介(国立民族学博物館・教授)。
水俣病の発見から70年近くを経て、現在の熊本県水俣・芦北地域では、展示やガイドツアー、写真、語り部講話などを通じ、水俣病の歴史や被害者の苦しみなどを伝える活動が盛んになっている。
本展は水俣病そのものではなく、こういった「水俣病を伝える」活動とそれに取り組む人びとに焦点を当て、約150点の資料とともに紹介する展覧会だ。水俣病の被害者やその家族のみならず、移住したうえで活動する人々も含めて、どのような思いで水俣病を伝える活動をしているのかを伝えることが本展の主なテーマとなる。
また、歴史を伝えるうえで使われてきた数々の言葉やモノ、写真、映像、場所などの持つ力やエネルギー、それらに接して学べるものの可能性についても、水俣病の表象を通して考えるものとなる。
さらに本展の展示は、現地でのフィールドワークを追体験する「フィールドワーク展示」がコンセプトとなる。各パートは、「水俣病を伝える」活動について平井に教えたキー・インフォーマント(情報提供者)の紹介とインタビュー映像から始まる。解説文も平井の一人称によって書かれ、実際に現地でフィールドが紹介されるように展開する。このような試みにより、鑑賞者が実際に水俣を訪れたいという気持ちを喚起することが目指される。