六本木アートナイトからディオール展まで。今週末に見たい展覧会ベスト6

今週から来週前半にかけて開幕/閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

六本木アートナイト2023、国立新美術館の展示風景より鴻池朋子の《武蔵野皮トンビ》

4年ぶりのオールナイト開催。「六本木アートナイト2023」

国立新美術館の展示風景より、鴻池朋子《狼ベンチ》

 六本木の街を舞台にした一夜限りのアートの饗宴「六本木アートナイト」が、4年ぶりのオールナイトで開催される(5月27日〜28日)。

 今回は、メインプログラム・アーティストを栗林隆+Cinema Caravan、鴻池朋子が担当。活動初期の頃から「境界」をテーマに大がかりなインスタ レーションを中心に多様な作品を発表している栗林隆は、2009年から共同活動を始めた、写真家、大工、料理人など多様なメンバーによって構成されるコレクティブCinema Caravanとともに、六本木ヒルズアリーナでアートエネルギーを船に載せ、世界中に届けるという《Tanker Project》を発表。

 また鴻池は、屋外展示で話題を呼んだ《皮トンビ》のほか、《狼ベンチ》など動物をモチーフとした作品を国立新美術館で披露する。

 なお、会期中には約45組のアーティストによる約70のプログラムが展開る。エリア内の美術館をはじめとする文化施設や大型複合施設、商店街など街全域を舞台に、ペインティングやインスタレーション、音楽、パフォーマンス、映像、トークなど、多様なプログラムが満喫できる貴重な機会だ。

会期:2023年5月27日10:00〜28日18:00 ※コアタイム:5月27日18:00〜28日6:00
会場:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、 六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
電話番号:050-5541-8600
料金:無料(ただし、一部のプログラムおよび美術館企画展は有料)

書籍を視覚的に立ち上げる。「横尾忠則 原郷の森」(横尾忠則現代美術館)

 画家とともに文筆家としての顔を持つ横尾忠則が2022年に発表した小説『原郷の森』(文藝春秋)。同書のタイトルを冠した展覧会が、横尾忠則現代美術館で5月27日に開幕する。

 本書は、主人公 Y が三島由紀夫と宇宙霊人に導かれ、すでにこの世を去った人々と芸術や人生について語り合うもの。ピカソ、キリコ、デュシャンにマン・レイといった横尾が私淑する芸術家たちから、黒澤明や東野芳明のような実際に交流があった文化人たち、あるいはノストラダムスに親鸞、ブッダに猫のタマまでおよそ280名にのぼる登場人物たちが入れ替わり立ち替わり現れては思い思いの言葉を残していく。

 本展では、森を模した展示室の中に関連する横尾の絵や版画をちりばめることで、言葉で表された小説の世界を視覚的に立ち上げることを試みるものとなる。

会期:2022年5月27日〜8月27日
会場:横尾忠則現代美術館
住所:神戸市灘区原田通3-8-30
電話番号:078-855-5607(総合案内)
開館時間:10:00~18:00 ※入場は17:30まで
休館日:月
料金:一般 700円 / 大学生 550円 / 70歳以上 350円 / 高校生以下無料

かつてないファッション展。「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」(東京都現代美術館)

展示風景より

 2017年のパリ・装飾芸術美術館を皮切りにロンドン、上海、ニューヨーク、ドーハで話題を集めてきた展覧会「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」。その東京バージョンがいよいよ5月28日に閉幕を迎える。展覧会に関するシリーズ記事はこちら

 本展は、13ものセクションで、クリスチャン・ディオール、イヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリといった歴代のクリエイティブ ディレクターたちの作品が並び、ディオールクチュールの全貌、そしてディオールと日本との関係をも紹介するもの。建築家・重松象平が手がけたセノグラフィーと、写真家・高木由利子による写真作品群によって、東京ならではの展覧会となった本展は見逃せない。なお、チケットは入手困難なため、詳細は公式サイトなどを確認してほしい。

会期:2022年12月21日~2023年5月28日
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月
料金:一般 2000円 / 65歳以上・大学生・専門学校生 1300円 / 中高生以下無料

ヒューマンスケールの立体作品に注目。空山基「Space Traveler」(NANZUKA UNDERGROUND)

空山基 Untitled_Sexy Robot_Space traveler 2022 ©Hajime Sorayama Courtesy of NANZUKA

 「セクシーロボット」シリーズ(1978-)で国際的に知られるアーティスト・空山基。その新作個展「Space Traveler」がNANZUKA UNDERGROUNDで5月28日まで開催中だ。

 2020年にNANZUKAで開催された個展「Sex Matter」において、アートにおける性の問題をロボットを通して表現するという作品を見せた空山。同展以来3年ぶりの個展となる今回の展覧会では、新作のヒューマンスケ ールサイズのロボット彫刻作品による大規模なインスタレーションを公開。また、空山が初めてのCGテクノロジーを駆使した映像作品、そして近年精力的に取り込んでいる大型のキャンバス絵画作品も見ることができる。なお、NANZUKA 2G、3110NZ by LDH kitchenでも作品が展示中だ。

会期:2023年4月27日〜5月28日
会場:NANZUKA UNDERGROUND、NANZUKA 2G、3110NZ by LDH kitchen
住所:NANZUKA UNDERGROUND(東京都渋谷区神宮前3-30-10)、NANZUKA 2G(東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 2階)、3110NZ by LDH kitchen(東京都目黒区青葉台1-18-7)
開館時間:11:00〜19:00(NANZUKA 2Gは渋谷PARCOの営業時間に準ずる。3110NZ by LDH kitchenは水〜木 11:00〜16:00、金土 11:00〜17:00)
休館日:月火(3110NZ by LDH kitchenは日曜、月曜、火曜、祝日)
料金:無料

新作絵画を展覧。「大岩オスカール:My Ring」(アートフロントギャラリー)

大岩オスカール Ring 3 2023 キャンバスに油彩 130x194cm ©OSCAR OIWA STUDIO

 アートフロントギャラリーでは、2年ぶりとなる大岩オスカールの個展「大岩オスカール:My Ring」が、5月28日まで開催されている。

 東京とニューヨークを行き来しながら、都市での生活体験や社会問題をテーマに、風刺やユーモアを交えた俯瞰的でダイナミックな絵画作品を制作している大岩。本展では、過去28年余りのあいだに描いたモチーフと、中央を流れる川で構成した新作5点が紹介。また大岩が描いた油彩画に光と3Dの技術を用いて制作された新しい試みによる模型の作品にも注目だ。

会期:2023年4月21日~5月28日
会場:アートフロントギャラリー
住所:東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA 棟
開館時間:12:00〜19:00(土日祝 11:00〜17:00)
休館日:月火、5月10日〜12日
料金:無料

未完作品も。「生誕100年 回顧展 石本 正」(京都市京セラ美術館)

石本正 のれん 1970 個人蔵

 京都市京セラ美術館で開催中の「生誕100年 回顧展 石本 正」が、5月28日に閉幕する。

 現代を生きる自分にしか描くことのできない新たな日本画を模索した石本正(1920〜2015)は、リアリティーあふれる舞妓や裸婦像で戦後日本画の人体表現に新風を吹き込んだ。本展はは、石本正の個人美術館である浜田市立石正美術館の門外不出の作品を含め、全国から集めた代表作など計約140点を一堂に公開し、青年時代から75年にも及ぶ画業の全容を振り返る。没後のアトリエで新たに見つかった素描や絶筆となった未完の《舞妓》も見逃せない。

会期:2023年4月4日~5月28日
会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊2階
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334
開館時間10:00~18:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:月
料金:一般 1800円 / 大学生・高校生 1400円 / 中学生・小学生 1200円 / 未就学児 無料

編集部

Exhibition Ranking