「……つい話すのを忘れがちだが、最近本当に強調しなければならない重要なポイントにたどり着く。私はピクセルを動かしたりしない。そういう意味では、私はまだアナログ写真家だと思っている。光がセンサーに当たったところで、私はその点を紙にプリントしているのだ」。ドイツ出身の写真家、ヴォルフガング・ティルマンスは、3月25日に香港のデイヴィッド・ツヴィルナーで開幕した個展「The Point Is Matter」の内覧会でそう話している。
デイヴィッド・ツヴィルナー香港では2回目のティルマンス個展となる本展では、1990年代の作品から新作・近作までが展示。スイミングパンツを撮影した1996年の作品《Badehose, photocopy II》(1996)をはじめ、昨年11月にサンフランシスコ近代美術館での個展の設営を終え、ホノルルからグアム、東京、台北を経由し、また香港からランバタを経てベルリンに戻った途中で撮影された作品などが並んでいる。
本展のタイトル「The Point Is Matter」について、ティルマンスは次のように述べている。「これは、私を取り巻く世界や、私の思考に関連するこのスペースでの作品についてのもの。私の思考は、過去や未来、思考や概念、精神性や感情で占められていることが多い。それらすべては結局のところ、物質に縛られ、物質の周りで起こっていることだ。物事をどう感じ、どうあるべきか。タイトルは、自分の目を信じ、物事を研究し、注意深く観察することへの詩的なヒントだ」。
展覧会は4つの展示室で構成されている。最初の展示室に入ってまず目に入るのは、ロンドンにあるティルマンスの空きスタジオを撮影した巨大な写真《Filled with Light, a》(2011)。夜に撮影されたこの写真は、ロンドンのオレンジ色の街灯の光が窓枠の影をむき出しの床、壁、天井に投げかけており、早朝なのか夕暮れなのか一瞬わからなくなる。同作の反対側には、ティルマンスがベルリンのアトリエで撮影したもうひとつの作品《Window Left Open》(2023)が出現。室内のランプの光と植物の影、屋内と屋外の建築物が重層的に交錯している。