2020年1月18日に開館する東京・京橋のアーティゾン美術館。夏には、印象派を代表する画家、クロード・モネ(1840~1926)の展覧会「クロード・モネー風景への問いかけ」が開催される。会期は20年7月11日~10月25日(2021年初夏に開幕を延期)。
自然光の美しさに魅了され、その表現方法の追求に生涯を捧げたモネ。本展は、73点ものモネ作品を有するオルセー・オランジュリー美術館との協働により、同館所蔵の作品を中心に、国内所蔵品を加えた約140点を紹介する大回顧展。モネの画業の礎となったル・アーヴルでの少年時代から、アルジャントゥイユ時代(1870年代)、ヴェトゥイユ時代(1878~81)、旅の時代(1880年代)、そして40年以上もの長い時間を過ごした最晩年のジヴェルニー時代(1890~1926)までを丁寧にたどることができる。
最晩年のモネは、パリのオランジュリー美術館に収められている《睡蓮》を主題に大装飾を制作。本展では、この連作に結実する風景表現の主題や舞台装置を探りながら、個々の作品が連続性のなかで発展していた事実を示す。
また本展では、フランスの映像作家、アンジュ・レッチアが同作を主題に制作した映像作品のほか、モネと同時代の画家たちや、新しい表現としての写真、そして西洋の文脈とはまったく異質である浮世絵などの日本美術や工芸作品を同時に展示。それらの作品が、モネの画業にどのような影響を与えたか、周縁からも考察を深めていく。
各時代において、モネが何を見て、どのようなイメージを込めて描いたかを丹念に探る本展は、モネ作品の特質を明らかにする機会となるだろう。