5月14日にサザビーズ・ニューヨークで行われた印象派と近代美術イヴニング・セールで、新しい世界記録が誕生した。
クロード・モネが1890年に制作した絵画《積みわら(Meules)》が、1億1070万ドル(約122億円)で落札。オークション史上9番目の落札額を記録した本作は、モネと印象派のオークションにおける過去最高額を更新し、初めて1億ドルを超えて落札された印象派の作品となった。
本作は、モネが1890年の夏から91年の春までに取り組んだ、収穫後の畑に積まれた干し草の山を描いた一連の絵画シリーズ「積みわら」のひとつ。1890年代にアメリカの実業家とコレクターのポッター・パーマー夫婦によって購入されたあと、1986年に初めてオークションに登場して253万ドルで落札。今回の落札額は、その約44倍となった。
また25点の絵画を含むこのシリーズのうち8点はプライベート・コレクションに収蔵されており、17点はパリのオルセー美術館やマルモッタン・モネ美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館、東京の国立西洋美術館などの主要美術館のコレクションに所属している。
サザビーズ・ニューヨークの印象派と近代美術部門長であるオーガスト・ウリベは、本作について次のようにコメントしている。「美術史上もっとも有名なシリーズのひとつであるモネの『積みわら』は、1890年に制作されて以来、数え切れないほどのアーティストにインスピレーションを与えてきました。重要なプライベート・コレクションより出品された一連の優れた印象派の作品のなか、本作を出品することを本当に光栄に思います」。
約3億5000万ドル(約386億円)の総売上を記録した今回のセールでは、モネやギュスターヴ・カイユボットなどの印象派画家による13点の作品が1億6000万ドルで落札。加えて、パブロ・ピカソによる7点の作品が9350万ドルの落札額を記録。そのなか、ピカソの絵画《Femme au chien》は、2500〜3000万ドルの予想落札価格をはるかに超えた5490万ドル(約60億円)で落札され、ピカソが1960年代に制作した作品のオークションにおける過去最高額を記録した。