女性初、大和日英基金アートプライズを受賞。ケイト・グルービー「Pure Pleasure」をチェック

美術家・ケイト・グルービーの個展「Pure Pleasure」が、東京・市ヶ谷のミヅマアートギャラリーで開催される。グルービーは、2009年から3年に1度行われている大和日英基金アートプライズを受賞した初の女性作家。会期は9月12日〜10月13日。

ケイト・グルービー Places unknown ビデオパフォーマンス (1分39秒) 2018 © Kate Groobey, Courtesy of the artist

 美術家・ケイト・グルービーの個展「Pure Pleasure」(=純粋な喜び)が、東京・市ヶ谷のミヅマアートギャラリーで開催される。本展は、グルービーにとってアジア初の個展となる。

 グルービーは1979年イギリス生まれの美術家。2000年にオックスフォード大学美術学部にて学士号を取得。08年からロイヤル・カレッジ・オブ・アートの修士課程で絵画を学び、現在はイングランド北部・ヨークシャーおよび南フランスを拠点に活動を行っている。今年、大和日英基金アートプライズの本賞を受賞し、同公募展の歴史において初の女性受賞者として、いま注目を集めている。

 グルービーは人との出会いや、ともに過ごした時間から生み出される関係性をテーマに、絵画とパフォーマンスを制作・発表してきた。特に近年においては、自分自身、友人、パートナーをモデルに独自のキャラクターを創造し、個人的な経験を作品の中に描き出している。その対象はきわめて個人的なものでありながら、独自の制作プロセスによって、だれもが共感できるような性格と感情を含ませる。

 その制作プロセスは、日記のようなドローイングや水彩の習作をもとに、床に置かれた大きなキャンバスの上を横断しながら描かれるというもの。自分の身体を伸縮させながら動かす絵筆からは、身体に沿った自然なかたちが表情豊かに生みだされていく。

ケイト・グルービー Moon & melon 2017 © Kate Groobey, Courtesy of the artist

 本展は、グルービーのパートナーの女性を被写体としたヌード/肖像画シリーズで構成される。同シリーズは、2年前、グルービーがパートナーの女性と海外放浪するなかで、ロサンゼルスで見たパブロ・ピカソの《Man and Woman(男と女)》に触発された経験をもとに制作されたという。

 その経験について、グルービーは「絵画史の中で描かれてきた女性像は、男性の性的目線を通して描かれたもの、もしくは自画像であり、女性の性的視線を通して女性の恋人を描くという隠された視線に関心を持った」と語る。

  さらに同シリーズは、セットとしての背景を描き、布に裸体を描くことで衣装とし、自身が作曲した音楽を使って寸劇を演じるというユニークなパフォーマンス映像へと発展。平面としての肖像画に命が吹き込まれるかのように、グルービーの身体を通して生き生きと展開された作品群に期待が高まる。

編集部

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