宮永愛子は1974年京都市生まれの美術家。99年に京都造形芸術大学芸術学部美術科彫刻コースを卒業、2008年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻で修士号を習得している。
これまで宮永は、日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩を使ったインスタレーションを展開。物質を通じて気配の痕跡を残そうと試み、時間を視覚化するような作品で注目を集めてきた。
「life」と題された今回の個展は、展示空間に無数の気泡を含んだいくつかの透明な絵画が浮かび、様々な角度から鑑賞者と向かい合う。その気泡のひとつひとつは、宮永によって日々の景色を映しながら少しずつ封入されたものであり、「私たちがたしかに過ごし呼吸したいつかの日々」が気泡として視覚化され、まるで生痕化石(生物の活動の痕跡から残された化石)のように静かに気配を留める。
「つねに世界は様々な思いと視点から観察され、多様に描き出されている」という宮永の意識が表現される本展は、鑑賞者を叙情的な世界へ誘うだろう。