スパイラルが「SICF」を通じて育む、アーティストと社会をつなぐ仕組み【4/4ページ】

東京だけでなく、九州でもアートの土壌を育む

加藤 今年の9月からは、福岡のONE FUKUOKA BLDG.(ワンビル)にて、東京以外では初めてとなるSICF Fukuokaが開催されます。ワンビルは西日本鉄道さんが運営する施設で、3Fにはスパイラルが運営するギャラリー・ショップ・カフェの複合店舗「Spiral Garden」があります。福岡市は市民のウェルビーイング向上に寄与する「アートのある暮らし」、福岡発のアーティスト活動を支援する「アートスタートアップ」など文化政策に力を入れている都市です。多様な価値観が集まり出会う「創造交差点」というワンビルのコンセプトをうかがい、商業施設としての成功だけではなく、一緒に福岡の文化やアーティストを育み、地元の方々のアートに対する意識を耕していこうという覚悟をお互いに確認して、取り組むことを決めました。

 福岡は「アジアの玄関口」と呼ばれ、台湾、韓国からの観光客も多い場所です。SICF Fukuokaでは台湾からも審査員を招きますし、アジアの若手アーティストや九州・中国地方の芸術を学ぶ学生、陶芸など地場産業に取り組む方など、首都圏では発掘しきれない魅力のある作家と出会えることを期待しています。最後に、これからSICFに挑戦するクリエイターに向けて、皆さんからメッセージをいただきたいです。

昨年ワンビルにオープンした「Spiral Garden 福岡ワンビル」 Photo by YASHIRO PHOTO OFFICE(*)
同スペースでは、SICF出身作家をはじめ、様々なアーティストの展覧会が開催される(*)

みょうじ ほかのコンペと優劣をつけるわけではありませんが、SICFは受賞後のサポートが手厚く、作家活動のプロセスを学ぶ機会をたくさんいただけます。駆け出しの作家にはおすすめなので、ぜひチャレンジしていただきたいです。

京森 SICFはアートのフィールドすら超えるような、多彩なジャンルの作家が100組以上集まる場所です。EXHIBITION部門ではアート作品を出展する方が多いですが、ファッションや音楽の世界で活躍する人にも応募してほしいですね。審査員の方々もそれを望んでいると思います。SICFの間口の広さは挑戦のしがいがあり、純粋に楽しいイベントでもあります。

haruna MARKET部門では、売れる作品をつくるのではなく、自分がものづくりをする意義がお客様や審査員に伝わる作品・空間づくりを心がけてほしいと強く思います。スパイラルで販売できるのは良い機会ですが、そこで売れなくてもまったく問題ありません。自分の作家性を見つめ直し、お客様や審査員の方から客観的な意見をもらえる場として、SICFを活用していただきたいです。

加藤 作品発表の機会が欲しい方、次のステップを探している方、お客様の反応を知りたい方、いろいろいらっしゃると思いますが、固定観念をもたずに挑戦してもらいたいです。アートをつくる側、みる側、買う側も、それぞれ商業やアートに対する見方や立場があるでしょう。SICFでは既存の枠組みを取り払って自由にアートに触れ、多種多様な作家や作品が存在していること、様々なアートの楽しみ方と届け方があることを知っていただければ嬉しいですね。

座談会の様子

編集部