創業の精神を継ぎ「美」を通してつながりをつくる。「shiseido art egg」が築いてきたもの【3/5ページ】

 ここからは、3月から連続して開催が予定されている「第18回 shiseido art egg」展の3つの個展について、担当キュレーターとアーティストそれぞれに、展示の内容とそこに込めた思いを教えてもらおう。

大東忍

眞家 第1期展(3月5日~4月6日)の大東忍さんは、風景を供養するというテーマに一貫して取り組んでいます。風景には人の営みの痕跡があり、それらを留めるために土地を歩き、踊り、絵を描くのです。作家本人が「身体を澄ます」と呼ぶユニークなプロセスを重ねて、作品制作をしています。今展では、従来取り組んできた木炭画を中心に、写真と映像の作品もゆるやかに組み合わせ、空間にパノラマのように構成したいというプランを実現させます。

大東忍

大東忍 資生堂ギャラリーには何度も足を運んだことがあって、空間の魅力を感じていたので、自分もここで展示できたらいいなとずっと思っていました。加えて今回の審査員のみなさんが、ぜひ作品を見ていただきたい方ばかりだったので、今年応募してよかったと思いました。

 今展のキーワードは「夜影」です。私たちのふだんの営みは、歴史化されるような要素なんてなさそうですが、そこを改めて見つめることで、人間の在り処みたいなものを探っていきたいと思っています。そうした人の営みがどこにあるだろうと考えたとき、夜の影にはっきり現れるんじゃないかと考えて、作品のテーマにしています。

 「shiseido art egg」では照明の専門家の方と空間をつくらせていただけます。私が表現しようとしている夜の影を、ライティングによって実現していただけそうで、私自身もたいへん楽しみにしています。

大東忍 例えば灯台になること 2025 映像
大東忍 不寝の夜 2025 キャンバスに木炭

編集部

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