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「自然」はすでにそこにある。川俣正が語る、ルイナールとのプロジェクトと偶然性の美学【3/4ページ】

「恒久性」への批評、そして「型」の継承

──川俣さんは長年、一定期間が経てば解体される「テンポラリー(仮設的)」な構造物をつくられてきました。いっぽうで今回「パーマネント(恒久的)」という条件を提示されたときは、どう捉えましたか?

川俣 1ヶ月で壊すものであっても、1年、10年、100年置いておくものであっても、僕のなかでは大した違いはないと考えています。「パーマネント」と言ってもいつかは壊れてなくなるわけであって、「時間軸が違うだけ」の話です。今回は「セミパーマネント」という言い方をしていますが、パブリックな場所だからこそ、エンジニアを入れて構造計算をしっかり行うといった部分は、現代のルールに合わせてちゃんと対応しています。

──素材として一貫して「木」を使われている理由と、それが朽ちていくことの意味について教えてください。

川俣 木を使うのは、一番簡便で、誰でも使えて、どこでも見つけられて、安価だからです。石や鉄を使うには特別なテクニックが必要ですが、木なら誰でも扱いやすい。今回はこのメゾンの近くで調達した木材を使っていますが、新材か古材かというこだわりもとくにありません。木は自然に朽ちていくからこそ、「人の手が関わり続ける」という余白が生まれます。メンテナンスフリーの作品はありえず、鉄も石も維持には人の手が必要です。手がかかる作品は、5年後にまた手入れして直さなければいけないけれど、そうやって地域の人やコミュニティが関わり続けることで、結果的に作品のかたちは残っていくのです。

──人が関わり、更新され続けることで、作品が永続していくのですね。

川俣 僕の作品は結局のところ「型(スタイル)」なんです。伊勢神宮や京都の祇園祭の山車がそうであるように、オリジナルな材料そのものが残らなくても、「型」が継承されていけば作品は存続しうる。以前、フランスの田舎でつくった《ツリーハット》は、台風で母樹が倒れてしまったのですが、その壊れなかった部品を転用して別の場所に《ネスト》へと再構成しました。ちなみにツリーハットは、木を傷つけないように釘やビスを使わず、枝のあいだに引っ掛け、木と一緒に成長するようにつくっています。そうやって状態が変化していくこと自体が自然だし、面白いと思っています。

木材を持ちルイナールのブドウ畑を歩く川俣 Photo by FLORIE BERGER

編集部

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