川俣正が考える都市とアートの今。代官山で30年前の「工事」を再開

日本における「アートプロジェクト」の先駆けとして、土地や地域と深く結びついた作品づくりを行ってきた川俣正が個展を開催。代官山のアートフロントギャラリーと、その建物を使った大規模なインスタレーションを展開する。会期は8月18日〜9月24日。

川俣正 ヒルサイドテラス ルーフトッププラン 2017

 「アートプロジェクト」と呼ばれる活動の日本における先駆けとして、社会の様々な課題に向き合い、作品を制作してきた川俣正。2005年には横浜トリエンナーレの総合ディレクターを務め、今年17年は現在開催中の「北アルプス国際芸術祭」に参加するなど、その土地ならではの作品を生み出し続けている。

 1984年、川俣は代官山のヒルサイドテラスで木材を利用したインスタレーション《工事中》を公開した。当初は、長期にわたり建物全体に作品を増幅させていく予定であったが、当時はまだ街なかでの屋外展示が極めて珍しかったこともあり、近隣の店舗などからの抗議を受けて1週間ほどで撤去することとなった。

 本展は、それから30年余りを経て、かつての「リベンジ展」という意味合いも込め、もう一度、都市、場所性、アートの掛け合わせ方を模索する展示として計画された。今回、川俣が打ち出したのは、会場となるヒルサイドテラスの屋上を使ったプラン。会期後に撤去されることが決まっている近隣の歩道橋の上から見ることのできる作品を制作する。

 屋内のギャラリー空間では、84年の「工事中」展の際につくられた模型やドローイングなどとともに、今回のインスタレーションにまつわる新たな作品が展示される。また、実際にヒルサイドテラスの屋上に上がることのできる日も設けられる予定となっている。

編集部

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