地下の記憶を反転させる《タワー》と、環境への「パラサイト」
──今回設置された3つの作品のイメージは、どのように立ち上がっていったのでしょうか。
川俣 ランスの地下には「クレイエル(石灰岩の採掘跡)」と呼ばれるトンネルが何キロも続いていて、巨大な空洞が存在しています。その一番大きな空洞の真上に《タワー(オブザーベトリー)》(2026)が建っています。つまり、地下の空洞の形をそのままひっくり返して、逆さにした形で地上にタワーとして立ち上げた。シャンパンの泡(バブル)が地下から湧き上がってきて、螺旋階段を登りながら空へと抜けて消えていくようなイメージですね。一般の来場者が実際に内部を歩いて上まで登れるようになっていて、夜間照明も設置しています。



──敷地内には藤本壮介さんが設計された現代的な新パビリオンもあります。そんななかで、古い建物に《ネスト》を設置された意図はどこにあるのでしょうか。
川俣 藤本さんの建物も面白いなと思いました。が、基本的に僕は新築の建築からインスパイアされることはあまりありません。それよりも、すでに風景に馴染んでいる古い建物のほうが面白い。《ネスト》を設置したのは、昔はシャンパーニュの工場だったオリジナルの建築です。 僕の仕事のキーワードに、「パラサイト(寄生)」という言葉があります。《ネスト》は一見すると建築に突如現れた「異物」ですが、その異物は突飛なものではなく、オリジナルな環境から湧き出てきた、あるいはコブのようにできてきたものとして捉えています。人間が環境のなかにいること自体も一種のパラサイトですし、そうした異物が社会にはびこっていく感覚を手助けしているようなところもありますね。





















