制度化された協力と支援
1月の火災への反応は、ロサンゼルスのアートシーンにおける協力とコミュニティの強固な基盤を浮き彫りにしている。これらの努力は、クリエイティブコミュニティが一丸となり、互いに支え合うことを可能にし、アートを癒しの源として活用することを促している。個別のプロジェクトから大規模な制度的イニシアティブに至るまで、これらの取り組みの多様性は、ロサンゼルスのアートシーンがいかに相互に関連し、支え合っているかを示している。
ロサンゼルスにおける様々なクリエイティブコミュニティ間の制度的および草の根の協力は、決して新しい現象ではない。火災への反応はその一例に過ぎず、ロサンゼルスのアートコミュニティには長い協力と支援の歴史があり、今回の取り組みもその基盤の上に成り立っている。2001年、ゲティ学術研究所は南カリフォルニアのアートのオーラルヒストリーを作成しようと試みた。このプロジェクトは、現在「ゲティPST」として知られるかたちに成長し、12年にはゲティ財団が様々なアート機関に資金を提供し、南カリフォルニアの美術史に関する研究成果を展示するプロジェクトを支援した。同年に開催された展示「Pacific Standard Time: Art in L.A. 1945–1980」は、戦後美術の歴史的価値を保存し、広く一般に公開することを目的としていた。このプロジェクトは、その後、ロサンゼルスや南カリフォルニアの多くの機関が協力し、毎回異なるテーマで展示を支援するユニークな資金調達活動へと成長した。このイニシアティブは、ロサンゼルスの美術史の貴重な部分を救い、その国際的な重要性を認識させることを目的としている。研究や学問を通じてロサンゼルスの様々な機関が連携することで、共通の観客と支援のネットワークを築いてきた。

Photo by Casey Kelbaugh. Courtesy of Frieze and CKA
2020年、新型コロナウイルスはロサンゼルスのアートギャラリーに大きな影響を与え、多くのギャラリーが閉鎖の危機に直面した。しかし、資源の限られた状況のなかで競争を煽るのではなく、「ロサンゼルス・ギャラリー・プラットフォーム」が立ち上がった。このプラットフォームは、ロサンゼルスのブルーチップギャラリーと新興ギャラリーが協力し、街のアートシーンを盛り上げることを目的としている。参加するギャラリーは、オンラインでアートを展示し、収益を得るとともに、互いの観客やリーチを広げることができ、ロサンゼルスのギャラリーシーン内での協力関係を築いていった。世界が再開し始めると、このプラットフォームは物理的な形態をとり、街の中で継続的な協力と支援のシステムを生み出した。