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ロサンゼルスのアートシーンはなぜこれまで盛り上がらなかったのか?

優れたアートスクールや世界的なアートコレクションを持つ美術館が存在するにもかかわらず、ロサンゼルスのアートシーンは半世紀以上にわたり困難な模索を続けてきた。2019年、初開催されたアートフェア「フリーズ・ロサンゼルス」を機にようやく全面的に開花することとなった同市のアートシーン。その発展と現状を、ロサンゼルス在住のアートジャーナリストであるCheyenne Assilが考察する。

文=Cheyenne Assil 翻訳=編集部

ロサンゼルス Photo by Cedric Letsch on Unsplash

 私が故郷と呼べる街、ロサンゼルスはこれまで訪れたどの都市とも違う。この違いがあるため、私はつねにその文化の中心地としての地位を守らなければならない。ニューヨークやソウル、東京のようなメガシティとは異なり、その広大な土地柄から、どこにでも簡単に歩いて行けるというわけではない。また、ロンドンなどの巨大な郊外を持つ都市とは異なり、公共交通機関が発達していないため、地域間の移動は容易ではない。ロサンゼルスの人々は、悪名高い交通渋滞や、駐車場を探すのに時間やお金をかけることに耐えた後、街の一角に留まってしまうことが多い。このような制約があるため、ロサンゼルスは──その広大な土地と、それを構成し、また分断している地域や郊外の集合体、そして、それぞれの地域を結ぶ迷路のようなフリーウェイによって──ナビゲートするのが難しい都市だ。

 このことは、地元のアート界が抱える問題でもあり、「ロサンゼルスは退屈で、文化に乏しく、ハリウッドやスターダムに重点を置いている」というステレオタイプにつながりがちだった。しかし、最近になって、この街の芸術・文化シーンを揺るがすような大きな変化が起こり、こうした見方が変わり始めている。この10年間は、芸術や文化の流入により、ロサンゼルスは世界的な文化の中心地としての地位を確立し、外部からの注目を浴びてきた。しかし、この近年の成長は、内部からの取り組みと外部からの働きかけの両方から生じたものであり、決して前例のないものではない。

アートスクールがもたらした初期のブーム

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