皇居・大手門を抜けてすぐ、皇居東御苑の緑のなかに建つ皇居三の丸尚蔵館。2019年から続いてきた新施設の整備が完了し、いよいよ今年11月3日にグランドオープンを迎える。
皇室の至宝を受け継ぐ国立施設
三の丸尚蔵館の歴史は、1989年、当時の天皇陛下(現・上皇陛下)と香淳皇后によって、皇室に代々受け継がれてきた絵画や書、工芸品、歴史資料などが国に寄贈されたことに始まる。その保存、研究、公開を目的として1993年11月に「宮内庁三の丸尚蔵館」が開館。その後も旧秩父宮家や旧高松宮家、三笠宮家などからの寄贈品が加わり、現在では約6300件(うち国宝10件、重要文化財13件)を収蔵するまでになった。
収蔵品には、日本美術史を代表する作品が少なくない。王羲之の書を伝える国宝《喪乱帖》(7〜8世紀)、高階隆兼による国宝《春日権現験記絵》、国宝《蒙古襲来絵詞》(13世紀)、狩野永徳の国宝《唐獅子図屏風》(17世紀)、そして伊藤若冲の代表作である国宝《動植綵絵》(18世紀)など、まさに日本美術の「至宝」と呼ぶべき作品群である。
いっぽう、旧施設は展示室が約160平米と小さく、膨大なコレクションを公開・保存するうえでスペースの制約を抱えていた。そこで19年から新施設の建設が開始され、23年10月には管理・運営が宮内庁から独立行政法人国立文化財機構に移管。同年11月には完成したⅠ期部分が「皇居三の丸尚蔵館」として一部開館した。東京、京都、奈良、九州の国立博物館に続き、国立文化財機構が運営する、5番目の国立施設だ。
25年5月からは、Ⅱ期部分との接続工事などのため再び休館。今回、すべての整備を終えて全面開館を迎えることになった。新施設の総工費は約155億円。これは国際観光旅客税を充当することで賄われた。



























