リバイバル、憧れの元禄文化
大詰の「元禄リバイバル」では、18世紀以降、師宣の図様や画風がどのように引き継がれていったのかを紹介。

宮川長春をはじめとする宮川派は、師宣の作風を強く引き継いだことで知られている。会場では師宣の《遊女と禿図》(江戸時代、1688〜1704頃)と長春の《美人図》(江戸時代、1711〜36頃)を並べて展示。着物の細やかな描き込みや絶妙なバランスで描かれた立ち姿など、菱川様の継承が見て取れる。
江戸時代後期に師宣を再評価したのは、戯作者で考証家の山東京伝(1761〜1816)だ。京伝は『浮世絵類考』の「菱川師宣伝幷系図(ひしかわもろのぶでんならびにけいず)」で師宣を浮世絵の始祖と位置づけ、以降の師宣研究の先鞭をつけた。こうした流れから江戸後期には師宣の「リバイバル」ともいうべき現象が生まれた。

琳派の伝統を受け継いだ鈴木其一(1796〜58)はこうした潮流を受けた作品を残しており、展示されている三幅対の《雪月花三美人図》(江戸時代、1818〜30頃)は、髪型が元禄期に流行したカモメ髱(たぼ)、着物も元禄風と、師宣ならびに元禄への憧れが見て取れる。
庶民文化が花開いた時代の姿を貪欲に作品に取り入れていった菱川師宣。本展はその表現や様式を改めて整理するだけでなく、江戸時代のなかで様々な絵師の作品に引き継がれてきた師宣の姿を再確認できる。同時に、鈴木其一のような江戸後期、琳派以降の絵師たちが、師宣を引き継ぎながらも日本美術にいかなる洗練をもたらしたのかも知ることができる展覧会と言えるだろう。



















