第4章 天下の書府
4章は「天下の書府」と称された前田家の蔵書文化に焦点を当てるもの。歴代当主、とりわけ綱紀による古典籍蒐集は質量ともに突出している。この章にも《日本書紀》《秘府略》《北山抄》《東寺百合文書》などの国宝が並ぶが、それ以上に注目したいのが、綱紀が自ら整理分類し、命名した工芸標本《百工比照(ひゃっこうひしょう)》(17〜18世紀)だ。


加賀前田家を代表する一大文化事業ともいえる《百工比照》は全10箱からなるもので、当時の工芸水準や室内装飾の様相など多彩な情報を伝える。
例えば第一号箱は紙、金工、漆工、染織などの技術の見本帳。第三号箱は3代・利常時代の引手金具等を保存。第五〜十号箱は中核をなすもので、実物資料が集積しており、優美な意匠と緻密な金工技術が凝縮されている。
この《百工比照》からは、前田家がたんなる収集にとどまらず、美と技の体系化も志向してきたことが浮かび上がる。





















