第3章 加賀前田家の武と茶の湯
前田家の美意識を象徴するのが、刀剣と茶道具だ。刀剣はその贈答で主従関係が結ばれる、いわば権力の象徴。そのため、前田家は名刀のコレクションに注力したという。


本章では「名物」と称される名品群が集結。なかでも白眉が、「天下五剣」のひとつに数えられる国宝《太刀 銘 光世作(名物大典太)》(12世紀)だろう。本作は数ある加賀前田家の刀剣のなかでも「最高峰」とされるもの。足利将軍家の伝来品で、豊臣秀吉から前田利家が譲り受けたという由緒が刀剣鑑定の権威・本阿弥家がまとめた『享保名物帳』に記されているという。作者の光世は筑後国三池(福岡県大牟田市)の名工。現存作はわずかで、本品はその最高傑作とされている。

重要文化財の《短刀 銘 吉光(名物 前田藤四郎)》(13世紀)も注目の名刀だ。作者の吉光は京・粟田口派の名工で、通称・藤四郎。短刀を得意とした。本品はその代表作のひとつで、青黒い精美な地鉄と白く冴えた直刃の刃文が見所だ。
3章後半は茶道具が数多く並ぶ。茶道具も刀剣と同じように、名物を所持することは文化的な階層の高さを示すものだった。

その象徴となるのが、重要文化財《大名物 唐物茄子茶入 銘 富士》(13世紀)だ。茄子のような丸みのある形状は、室町時代に最高の格とされた。本作は室町将軍家や織田信長、豊臣秀吉らが所有し、前田利家へと下賜された由来をもつ。



















