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AI時代のクリエイターはどう自分の表現を守っていけるのか? 福井健策弁護士に聞く、著作権と規約から考えるSNS生存戦略

昨年12月、X(旧Twitter)に搭載された「投稿画像をAI(Grok)で編集できる機能」が波紋を呼んだ。現在、クリエイターのプレゼンテーションの場として欠かせないSNSで、自身の作家性を守りながら発信を続けるにはどうすべきか。利用規約の落とし穴や現行の著作権法の限界、そしてこれからのAIとの向き合い方について、著作権問題の第一人者である弁護士・福井健策に話を聞いた。※4月15日24時まで、すべての方に全文お読みいただけます。

聞き手・構成=三澤麦(編集部)

X(旧Twitter)ヘルプセンターに記載の規約

SNSの利便性と「無断改変」の脅威

──昨年12月、X(旧Twitter)に「投稿画像をAI(Grok)で編集できる機能」が追加されました。SNSは広報としていまや欠かせないツールであるいっぽう、無断改変や模倣の脅威というリスクもあります。クリエイターはいま、どんなジレンマに直面していると思われますか。

福井健策(以下、福井) 心理的・実務的な双方のジレンマがあると思います。情報過剰の時代、SNSなしで人々の目に留まることは非常に難しい。いっぽうで、作品を公開すれば改変・流用されてしまう恐れはあり、これはAIでさらに容易になった。「見てもらいたいが、奪われたくはない」という葛藤は当然生じるでしょう。

 今回、Grokの画像編集機能が大きな議論を呼びましたが、こうした事態は15年以上前、SNSが普及し始めた頃から十分に予想されていたともいえます。

 私もかなり早くから、当時のTwitterやYouTube、Facebookなど、主要プラットフォームの利用規約についてコラムを書いています。当時すでに規約には「アップロードされた情報は、プラットフォーム側が(改変を含め)自由に利用できる」という旨の条件がありました。つまり、今回、XがGrokで行っていることは、15年以上も前から規約上に明記されていたことの現実化に過ぎないのです。

「規約」を読まないリスクとユーザーの責任

福井 日本でも2008年には、mixiの同種の規約をめぐる大炎上がありました。しかし、ユーザー側が徐々にこの話題を忘れ、あるいは飽きてしまった結果、ほとんどのプラットフォームには同じ規約が残ったまま今日に至っています。それが生成AIの登場により、爆発的な影響力を持って顕在化したのが現状です。

 この事態を止められた可能性があるのは、ユーザーの声だけでした。とりわけ日本人は、欧米などに比べても規約への関心や、異議を申し立てる運動が少ないと感じます。もちろん声を上げたからといって、何も変わらない可能性はあります。それでも規約を読まずにSNSを利用することは、契約書を確認せずにサインするのと同じですね。

──大前提として規約の確認は必要となりますね。ところで、Grokのような多くの生成AIは、そもそも既存の著作物を学習して開発されています。もしSNS上の投稿やつぶやきがAIで学習されて作風の模倣などが行われた場合、現行の著作権法ではどこまで対象者を守られるのでしょうか。

福井 日本の現行法では、AIによる学習、つまり情報解析自体は原則として自由です。これはEUや米国でも、裁判所が「学習を一切認めない」という判断を下す可能性は低いでしょう。世界共通で学習、つまり情報解析はある程度自由なのです。

 クリエイターも先人の技法を学び、身につけますよね。これまではコンピューターを使わなかっただけで、火の起こし方から絵の描き方まで、人類は「アイデア」を模倣し合って発展してきました。ですから世界的に著作権では、「アイデア」の模倣は自由であるというのが基本原則です。

 ただし、日本の著作権法にも例外があります。ひとつは、「表現」そのものが酷似するような学習・出力は認められないということ。タッチやテイストの模倣を超えて、構図や造形までそっくりなものをAIが出力し、それを利用すれば著作権侵害になりますし、それ以前に表現まで真似るための学習は、学習した時点ですでに侵害です。

編集部

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