第5章 侯爵前田家のコレクション
終章となる第5章は、近代以降、侯爵家となった前田家の活動とコレクション形成を扱う。分家から前田家を引き継いだ16代・利為は5代・綱紀の偉業にならい、美術工芸品の蒐集や伝来品の整理に努め、前田家伝来品を確実に後世へ存続させるべく、大正15年(1926)に育徳財団(現在の前田育徳会)を創立した。


本章では、いまも駒場にある洋館・旧前田家本邸を飾った美術品群や、西洋美術の受容が紹介され、近代以降の美意識の変容を示している。例えばフランソワ・ポンポンの《シロクマ》(1930)は、旧前田家本邸の洋館1階にある大客室の窓際に飾られた。



このほか、パリの画商からポール・ゴーガン《パラウ・パラウ)とともに購入したピエール=オーギュスト・ルノワールの《アネモネ》(19〜20世紀)や、美術商・林忠正の遺族から購入したラファエル・コラン《庭の隅》(1895)などの美術品のみならず、コナン・ドイルやルイ14世、ナイチンゲールとの書簡など貴重な品々が並ぶ。
なお最後の展示室を飾る壁は、旧前田家本邸の大客室の壁紙を復元したもの。1940年頃に撮影されたモノクロ写真をもとに、AIによるカラー色彩復元を行い、壁紙の再現が実現したという。
本展の報道内覧会に登壇した前田家19代当主・前田利宣は会場を振り返り、「(出品されてるものは)ほぼ初めて見たものばかりだ」と驚きの声をあげた。刀剣、甲冑、茶道具、書画、工芸、さらには西洋由来の美術品まで、きわめて多彩な文化資産が一堂に会する本展。あらためて、歴代当主が果たしてきた事績と、文化事業としての役割に目を凝らしてほしい。



















