京都・嵐山にある福田美術館で、伊藤若冲(1716〜1800)の名作《菜蟲譜(さいちゅうふ)》と、新たに発見された《果蔬図巻(かそずかん)》を同時に展示する企画展「若冲にトリハダ! 野菜もウリ!」が、2026年4月25日から7月5日まで開催される。若冲芸術の核心とも言える2つの巻物が並んで公開されるのは史上初となる。
《菜蟲譜》は、全長約11メートルに及ぶ絹本着色の巻物で、前半に野菜や果物、後半に昆虫や爬虫類などの小動物を描いた、若冲晩年の代表作。国の重要文化財に指定され、佐野市立吉澤記念美術館が所蔵する。本作が関西で展示されるのは2018年以来、約8年ぶりとなる

展示期間:4月25日~5月8日、6月20日~7月5日
いっぽうの《果蔬図巻》は、2023年に新たに発見され、福田美術館の所蔵となった作品。寛政2年(1790)、若冲が75歳以前に描いたとされ、全長約3メートルの画面に、瑞々しい野菜や果物が豊かな色彩で描かれている。約1年に及ぶ修理を経て、今回の展覧会で本格的に公開される。

若冲は《果蔬図巻》を描いた翌年に《菜蟲譜》を完成させており、両作には描かれる野菜の種類や彩色方法など、多くの共通点が見られる。青物問屋を営んでいた若冲ならではの、自然物への細やかで温かなまなざしも、2作を見比べることでより鮮明になるだろう。文化財保護の観点から展示期間が限られる《菜蟲譜》と《果蔬図巻》が並ぶ機会はきわめて稀少だ。
- 1
- 2
























