リナ・バネルジー個展「You made me leave home…」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)開幕レポート。分断の時代に問いかける「ホーム」の意味

エスパス ルイ・ヴィトン東京で、南アジア系ディアスポラのアーティスト、リナ・バネルジーの個展「You made me leave home...」が開幕した

文=橋爪勇介(編集部)

エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026) Photo by Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

 東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で、南アジア系ディアスポラのアーティスト、リナ・バネルジーの個展「You made me leave home...」が開幕した。本展は、フォンダシオン ルイ・ヴィトンの「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラム10周年と、エスパス ルイ・ヴィトン設立20周年を記念するもの。

 リナ・バネルジーは1963年インドのコルカタ(旧カルカッタ)生まれ。ロンドンやマンチェスターでの生活を経て、7歳で渡米。ニューヨーク・クイーンズに移り住んだ。ケース・ウェスタン・リザーブ大学で高分子工学を専攻したのち、95年にイェール大学で絵画・版画の修士号を取得。工学的な素材への知見は、その作品世界に深く刻まれている。

リナ・バネルジー、エスパス ルイ・ヴィトン東京にて Photo by Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

 バネルジーが選ぶ素材は、綿糸、ココナッツパウダー、テキスタイル、ダチョウの卵、羽根、ガラスのシャンデリアなど、いずれも固有の来歴を持つ。バネルジーはこうしたグローバル・サウス(作家はこれを「熱帯地域」と呼ぶ)産の日常品と、植民地主義の文化的・物質的残滓を反映する要素が混在するインスタレーションや立体作品群を制作してきた。

 こうした素材の選択は、意図的な異種混交を生む。「日常のものを阻害せず、ユニークなものを生み出したい」とバネルジーは話す。ものが自らの手で別のものになることで、新たな動きを獲得するというのが作家の考えだ。

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