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「下村観山展」(東京国立近代美術館)開幕レポート。13年ぶりの大回顧展で問い直される、近代日本画の巨人【4/4ページ】

 2部は「何をどう描いたか」「なぜこれを描いたか」「作品の生きる場所、作品がつなぐもの」という3つのテーマから、観山の取り組みを紹介するもの。

 注目は毘沙門天と弁財天の下図だ。内閣総理大臣も務めた松方正義夫妻の金婚祝いとして、三菱財閥の岩崎家から観山に作品が発注され、贈られたものの下図で、今回が新発見となる。右には「(未)年 頞羅大将」、左は「(日)年弁財天」と書き込まれており、頞備羅大将は十二支の未を司るもの。蛇(日)は弁財天の使いを意味する。未と日は松方と妻の干支を意味しており、観山が受け取る人を深く想い描いていたことが推察される。

展示風景より、毘沙門天と弁財天の下図(1911)

 また本展の最後を飾る作品として、絶筆となった《竹の子》(1930)も白眉だ。体調不良のなかで、1週間をかけて完成させたという本作。筍の存在感を力強く示す線と彩色は、絶筆とは思えないほどの存在感を放っている。

観山の絶筆となった《竹の子》(1930)
観山の没後に日本美術院で執り行われた院葬で木村武山が述べた「院葬之辞」(1930)

 なお本展では会場内で単眼鏡を貸し出し、繊細な筆致や細部の描写をより間近に体感できる鑑賞体験が用意されている。日本画の魅力のひとつは筆の質感や金泥の微細な輝きにあるが、通常の鑑賞距離ではどうしても見過ごしがちになる。単眼鏡を通した作品鑑賞は、観山の超絶技巧がいかなるものかを実感させてくれる、本展ならではの工夫だ。

編集部