東京・恵比寿の山種美術館で、春の訪れを祝うような華やかな特別展「花・flower・華 2026」が幕を開けた。会期は5月10日まで。
古来、日本の絵師たちは移ろう季節のなかで咲き誇る花々に、無常の美や祈り、そして祝祭の意を込めてきた。本展では、同館が誇る珠玉のコレクションを中心に、近現代の日本画壇を代表する巨匠たちが描いた「花」の表現が一堂に並ぶ。

展示の冒頭部分で鑑賞者を迎えるのは横山大観の《春朝》(1939、山種美術館蔵)だ。本作は山種美術館の創設者・山崎種二と深い親交のあった大観が、日本の精神性を象徴するかのように描き出した名品。本展の監修にも携わる美術史家・山下裕二が「大和心そのものを描いたような作品」と評するように、朝日に輝く山桜が画面を覆う姿は気品を放つ。

また、本展で見逃せないのが、古典への敬意と独自の解釈が融合した作品群だ。 菱田春草の《桜下美人図》(1894)は、菱川師宣による《見返り美人図》にならいつつ、春草らしい静謐な色彩で再構築された一幅。美人の傍らに描かれた、犬のような愛らしい存在が画面に柔らかな体温を添えている。

いっぽう、圧倒的なスケールで迫ってくるのが川端龍子の《八ツ橋》(1945、山種美術館蔵)だ。六曲一双の大画面は、琳派の巨匠・尾形光琳による《燕子花図》や《八橋図屏風》を強く意識して制作されたもの。光琳の装飾美を継承しながらも、龍子特有のダイナミックな筆致と構成が、伝統をアップデートしようとする熱量を伝える。

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