• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 女性アーティストの国際的な認知向上を目指す。国際プログラム「…

女性アーティストの国際的な認知向上を目指す。国際プログラム「Women to Watch」の連動展が表参道で開幕【2/3ページ】

入江早耶の再生、風間サチコの社会、宮永愛子の時間──作品を通じて編み直される物語

 会場に並ぶ5人の作家の選定趣旨について、「活動拠点からライフステージまで、多様なバックグラウンドを持つ作家のなかから、『本』にまつわるテーマで制作される方々に参加いただいた」と神谷。続けて、「本とは人間と知識の密な体験を提供するものであり、他者を知るツールでもある。昨今、知らない他者に目を向けない風潮があるなかで、女性の立場だからこそ見えるものを追いかけることができれば」とそのねらいについても語った。

 今回の展示作家と作品をそれぞれ紹介したい。岡山県出身で広島を拠点に活動する入江早耶は、博物画に描かれた鳥の図を消しゴムで消し、その消しカスと樹脂粘土を用いて、その鳥の立体作品を制作している。学生時代より広島で制作を行っていたことから、作品にはレジリエンス(回復力)の文脈が通底していると入江は語る。また、実を食べて種子を運ぶ鳥に、新しい物事を生み出す象徴としての役割を見出している。

入江早耶《バードダスト(ハチドリ Ⅱ)》(2024)
入江早耶《インディアナバードダスト》(2024)

 東京都内にアトリエを構える風間サチコは、ダイナミックな木版画作品で知られる作家だ。直視しがたい社会的事象を捉え、書籍や絵葉書、インターネットの情報などから空想のストーリーを構築し、それに沿った絵づくりを行っている。

 今回は、東日本大震災の爪痕が残る東北にインスピレーションを受けた作品2点を出品。風間は本企画への参加に関し、「自分自身、ジェンダーの意識を強く持っているわけではなく、制作にあたってあえてイデオロギーを問わないようにしている。しかし、このポジティブな個人主義が認められていくことで、世界の平和につながれば」と語った。

手前から、風間サチコ《FLOW(袖の渡り/涙川)》(2023)、《FLOW(雄島/誰まつしまぞ)》

 京都を拠点に活動する宮永愛子は、潮の満ち引きを記録した「大潮の暦」を10年分以上をガラスに綴り、焼きしめた《Strata》(2018-19)を出品している。本のなかに閉じ込められた時間の経過と変化の痕跡。ミクロな世界に内包された大きなうねりを体感させる作品となっている。

宮永愛子《Strata》(2018-19)の展示風景