今週末に見たい展覧会ベスト27。「アンドリュー・ワイエス」展から「トニー・アウスラー」展まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

THE MONSTERS 10周年記念展 東京「MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN」展示風景より

もうすぐ閉幕

東京都美術館開館100周年記念「アンドリュー・ワイエス」展(東京都美術館

 アンドリュー・ワイエス(1917〜2009)の没後日本初となる回顧展「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」が開催されている。会期は7月5日まで。レポートはこちら。なお、本展は豊田市美術館(7月18日〜9月23日)、あべのハルカス美術館(10月3日〜12月6日)に巡回する。

展示風景より、アンドリュー・ワイエス《オルソンの家》(1966)水彩、紙

 ワイエスは、20世紀アメリカ具象絵画を代表する画家だ。二次世界大戦後に脚光を浴びたアメリカ抽象表現主義、ネオ・ダダ、ポップアートといった動向から距離を置き、ひたすら自分の身近な人々と風景を描き続けた。その作品は眼前にある情景のたんなる再現描写にとどまるものではなく、作家自身の精神世界が反映されたものとなっている。

 同展は、その「境界」の表現に着目して、ワイエスが描いた世界を見つめることを試みるものとなる。ホイットニー美術館(ニューヨーク)の《冬の野》(1942)、フィラデルフィア美術館の《冷却小屋》(1953)、フィルブルック美術館(オクラホマ)の《乗船の一行》(1984)をはじめ、10点以上が日本初公開。あらためてワイエスの魅力に触れる機会となるだろう。

会期:2026年4月28日~7月5日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
開館時間:9:30〜17:30(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 2300円 / 大学生 1300円 / 65歳以上 1600円 / 高校生以下無料

THE MONSTERS 10周年記念展 東京「MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN」(麻布台ヒルズギャラリー

 東京・虎ノ門の麻布台ヒルズギャラリーで、カシン・ロンによる「THE MONSTERS」シリーズの10周年記念展「MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN」が開催されている。会期は7⽉5⽇まで。レポートはこちら。本展は上海を皮切りに、台北、香港、パリを巡回してきたグローバルツアーの東京展となる。

展示風景より

 カシン・ロンは1972年香港生まれ。幼少期にオランダへ移住した経験から、ヨーロッパ各地に伝わる妖精や民話に関心を抱き、その想像力をもとに「THE MONSTERS」シリーズを創出した。なかでも「LABUBU(ラブブ)」は、愛らしさと少しの不穏さをあわせ持つキャラクターとして世界的人気を獲得。シリーズの原点には、『The Story of Puca』『Pato and the Girl』『Miró’s Requiem』からなる絵本三部作『THE MONSTERS TRILOGY』がある。

 会場では、絵本の世界へ入り込むような没入型展示を展開。なかでも初公開となる「The Story of Puca」エリアでは、クリエイティブスタジオ・toitoによるアニメーションを、5面プロジェクションと立体音響によって上映。限定数百部のみ刊行された幻の絵本世界を、空間体験として再構築する。

会期:2026年6⽉11⽇〜7⽉5⽇
会場:⿇布台ヒルズギャラリー
住所:東京都港区⻁ノ⾨5-8-1
開館時間:10:00〜19:00 ※入場は18:00まで
料金:2500円(特典つき)

上田暁子 石塚元太良 森本啓太「Worlding − No Oars, No Shore,」(ポーラ ミュージアム アネックス

 ポーラ ミュージアム アネックスで、上田暁子、石塚元太良、森本啓太による展覧会「Worlding − No Oars, No Shore,」が開催されている。会期は7月5日まで。

メインビジュアル

 上田暁子は1983年京都府生まれ。2006年武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、20年ブリュッセル王立芸術大学院絵画科修士課程、23年同大学院の石版画科を修了した。上田は絵画をたんなる再現や表象の手段とはとらえず、何かの事象が変質・変容していく過程やその瞬間、あるいはその成り行きの表現手段として追求する。初期作品でみられたような、静止した画面の中に時間や動きや出来事の連続性を定着させる試みは、近年予測不能な変化や即興性を取り入れた既視感と未視感との往還へと発展している。

 石塚元太良は1977年東京生まれ。2004年に日本写真協会賞新人賞を受賞し、その後11年文化庁在外芸術家派遣員に選ばれる。初期の作品では、ドキュメンタリーとアートを横断するような手法を用い、その集大成ともいえる写真集『PIPELINE ICELAND / ALASKA』(講談社刊)で14年度東川写真新人作家賞を受賞。また、16年にSteidlBookAwardJapanでグランプリを受賞し、写真集『GOLD RUSHALASKA』がドイツのSteidl社から出版される。19年には、ポーラ美術館で開催された「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展で、セザンヌやマグリットなどの近代絵画と比較するように配置されたインスタレーションで話題を呼んだ。

 森本啓太は1990年大阪生まれ。2006年にカナダへ移住し、12年オンタリオ州立芸術大学(現・OCAD大学)を卒業した。カナダで活動したのち、21年日本に帰国し、現在は東京を拠点としている。バロック絵画や20世紀初頭のアメリカン・リアリズム、そして古典的な風俗画の技法やテーマに強い関心をもち学んできた森本は、これらの伝統を参照し、ありきたりな現代の都市生活のワンシーンを特別な物語へと変貌させる。

 本展は、「世界はどのように立ち現れるのか」を出発点に、上田、石塚、森本がそれぞれ異なる手法で向き合った展覧会である。上田は色彩や形態の変化を通して、像が現れかけては崩れていく過程や、出来事が生まれる瞬間を描き出し、石塚は写真表現を基点に、光や素材の扱いを拡張しながら、時間や空間が重なり合う感覚を提示する。森本は古典絵画を参照しつつ、都市の日常的な風景を描き、「光」を手掛かりに現代の現実と歴史的な奥行きを重ね合わせ、見ることや認識のあり方を問いかける。

会期:2026年6月12日~7月5日
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
開館時間:11:00~19:00 ※入館は閉館の30分前まで
料金:無料