福島県郡山市にある郡山市美術館で、企画展「戦後80年 戦争と子どもたち」が開催されている。会期は3月22日まで。本展は板橋区立美術館(2025年11月8日〜2026年1月12日)からの巡回で、新潟市美術館(4月11日~5月31日)でも開催される。郡山市美術館の担当学芸員は、同館の塚本敬介。
1945年の終戦から2025年で80年。全国の文化施設では、昨年から今年にかけて戦争をテーマとした展覧会が数多く開催されてきた。戦地の様子や当時の国民の生活を伝える戦争画は数多く存在するが、本展はそのなかでも、戦時中に描かれた子供たちの姿や、子供たちによる表現に焦点を当てているのが特徴だ。
展示は、本格的な戦争に入る1930年代から敗戦後の1940年代後半まで、時系列に沿った全5章で構成される。第1章「童心の表象」では、大正時代の自由主義的な空気の影響を受けた、無邪気な子供たちのイメージを追う。ここでは絵画作品から、街頭で子供たちを夢中にさせた紙芝居までが紹介され、当時の子供観の変遷をたどることができる。


やがて1930年代後半、日中戦争の長期化により社会が変容すると、子供を主題とした作品にも時代の影が差し込み始める。第2章「不安の表象」では、子供たちの姿を描きながらも、戦争による閉塞感や不安を投影したかのような作品が展示されている。
例えば、香月泰男による《水鏡》(1942)では、将来ある子供と枯れ果てた植物が同じ画面に描かれ、不穏な対比をなしている。また、同館所蔵の今西中通《子供を抱く女》(1943)は、我が子を抱きながらも、その行く末を案じるような母親の眼差しが印象的だ。
興味深いのは、軍国主義のもとでシュルレアリスムや抽象表現が検閲対象となっていた時代に、具体美術協会の創設者・吉原治良がその作風を抽象から具象へと変化させていったことがわかる作品も展示されている点だ。また、長野県上田市の「無言館」から借用された作品も出展されており、将来有望でありながら若くして戦地で散った作家たちの存在も感じ取れる。


































