また同館では、開館以来コミッション・ワークを中心に収蔵してきた作品を紹介する展覧会「北へ向かって」が同時開催されている。この土地にゆかりのある作家の作品に加え、弘前出身のアーティスト・奈良美智と杉戸の共作も出展されているため、こちらも要注目だ。
じつは杉戸と同館の関係には、奈良の存在が大きく関わっている。杉戸が高校生のときから親交のある奈良は、2006年に同館の前身である吉井酒造煉瓦倉庫で「YOSHITOMONARA + grat A to Z」展を開催しており、その際杉戸もその展覧会に参加していたという。そんな2人にとってゆかりのあるこの土地で開催される本展で、2004年に共作した作品や、当時のモチーフを22年に彫刻として発表した際の原型が紹介されている。なお同展では、奈良と株式会社バッファロー代表・牧寛之により、今年共同寄贈された《Girl from the North Country (study)》も展覧されている。


同館館長の木村絵理子は、本展について次のように語る。「開館5周年の機会に、いままであまり開催してこなかった絵画の展覧会を開催したいと考えていた。そこでここ弘前とゆかりのある杉戸さんにぜひお願いしたいと考え、服部さんの協力も得ながら実現した展覧会。いまここでしか見られない空間や出来事を、ぜひご自身の目で目撃してほしい」。

「えり」や「へり」といった「余白」に目を向けながら、丁寧に周囲の空間や出来事に向き合う杉戸。そんな杉戸がここ弘前で見せる、作品が生まれてくる瞬間を含めた「いま」を体感すべく、ぜひ会場まで足を運んでみてほしい。



















