杉戸洋は1970年愛知県生まれ。92年に愛知県立芸術大学美術学部日本画科を卒業した。90年代の活動初期から国内外で活躍してきた杉戸は、これまで「FOCUS」(フォートワース現代美術館、2006)、「天上の下地 prime and foundation」(宮城県美術館、2015)、「frame and refrain」(ベルナール・ビュフェ美術館、2015)、「こっぱとあまつぶ」 (豊田市美術館、愛知、2016)、「杉戸洋 とんぼ と のりしろ」(東京都美術館、2017)のほか、ロサンゼルスのMarc Foxx Galleryでも8度の個展を開催してきた。
加えて、2009年から10年にかけて日本、ドイツ、カナダ、メキシコと巡回した松井みどりのキュレーションによる「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」や、「絵画の庭-ゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館、大阪、2010)をはじめとする数多くのグループ展にも参加。現在も「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、〜5月26日)に出品している。
近年杉戸は「絵画」の枠にとどまらず、建築と作品が相互に作用し合う場を作り出し、新たな展示空間を生み出してきた。それらはいずれもいわゆる「インスタレーション」とも違い、杉戸の思考と入念なリサーチ、プロセス、時間、色彩、余白が幾十にも重なり合わさり、独自の空間となっている。
今回、東京・六本木の小山登美夫ギャラリーで開催される個展「cut and restrain」は、すべて新作で構成される。きわめて自由度の高い杉戸作品は、世界はひとつの方向や視点ではなく、様々な角度から構築され変化し続けるものだということへの再認識を鑑賞者に促すだろう。