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「これからの風景 世界と出会いなおす6のテーマ」(静岡県立美術館)会場レポート。伝統的「風景」から現在、そして未来の絵画を思考する【7/8ページ】

 第5章「環境―地球を想像する風景」は、風景を地球環境の一部としてとらえた、壮大な時間を経て変化しているダイナミズムを感じさせる作品を紹介する。

 登山家でもある石川直樹が富士山を空撮でとらえた作品「Mt. Fuji」シリーズは、いまも地殻変動による表出物として変化を続ける富士山の姿を伝えるものだ。崩落が進行している「大沢崩れ」や、石川が自身の足で踏みしめて覗き込んだ巨大な火口など、普遍的なイメージとしての富士山とは異なる表情を見ることができる。

展示風景より、右奥が石川直樹「Mt. Fuji」シリーズ(2008)

 大学で地理を学んだのちに写真家となった松江泰治は、地平線や影を配したフラットな状態で地球の表面をとらえ続けてきた。火山の堆積物が長い時間をかけて侵食されることで形成されたトルコ・カッパドキアの不思議な地形をとらえた写真は、地球の表面の質感そのものを前景化させる試みといえるだろう。

展示風景より、左から松江泰治《ALPS 18443》(2012)、《カッパドキア》(1994)