第2章「鑑賞―さわる風景、きく風景」は、誰もが風景画を体感できる環境をつくり出すことを試みた、意欲的な章となっている。本章ではクロード・ロラン《笛を吹く人物のいる牧歌的風景》(1630年代後半)を対象に、視覚以外で作品をとらえるための試みが行われている。

テキスタイルを使用したインスタレーションは、ロランの作品に描かれた光と奥行きを触覚で触りながら体感できるように考えられたものだ。さらに3Dプリンタによって写し取られた作品の額の一部や、額の実寸と同じ大きさの木製のフレームも展示されており、自由に触ることができるほか、奥には本作の触図と実作品を展示、さらに音声ガイドも用意されている。

この試みは触覚によって、目の不自由な来場者がロランの作品をとらえるための助けになるという点でも意義深いが、同時にあらゆる鑑賞者にとって、絵画を多層的なレイヤーに分解して受け取り、新たな発見を得ることができる機会にもなっている。




















