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「これからの風景 世界と出会いなおす6のテーマ」(静岡県立美術館)会場レポート。伝統的「風景」から現在、そして未来の絵画を思考する【5/8ページ】

 第3章「観光―見出された風景」は、広く知られる観光地の普及に、風景画やその複製が大きな役割を果たしてきたことに着目している。

 富士山を擁する静岡県の美術館らしく、同館には富士山を画題とした風景画も数多く収蔵されている。江戸時代に東海道中の名所を描いて人々の旅への思いを盛り上げ、そしていまも世界に日本のイメージを輸出している歌川広重《東海道五拾三次》をはじめ、黒川翠山、和田英作、ジュリアン・オピーらの富士山表象を見比べたい。

展示風景より、右がジュリアン・オピー《「日本八景より」国道三百号線から眺める富士山と雛菊》(2007)

 また、吉田博が描いた上高地、児島善三郎が描いた箱根、須田国太郎の描いた丹後半島の棚田など、明治後半から昭和にかけて国内の観光地が様々な画家の手によって、人々のイメージの形成をしていった過程が見て取れる。

展示風景より、右が児島善三郎《箱根》(1937)