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松江泰治

Taiji Matsue

 松江泰治は1963年東京都生まれ。87年、東京大学理学部地理学科卒業。森山大道の写真集『光と影』(1982)に影響を受け、写真家になることを決心する。80年代からモノクロ写真の制作を開始。96年に第12回東川賞新人作家賞、2002年に第27回木村伊兵衛写真賞受賞。主な作品シリーズに、イラン、ギリシア、モロッコなどの乾燥地帯や森林を見下ろすように撮影した「gazetteer(地名事典)」(1990〜)、日本の各都道府県を空撮し、国際標準化機構が定めたコードを作品タイトルにつけた「JP」(2001〜)など。06年に初のカラー写真集『JP-22』を発表し、以降、カラー作品も多く手がけるようになる。撮影においては「地平線がない構図」「被写体に影が生じない順光」といったルールを敷き、一貫して平面性を追求している。

 これまでの個展に、「Landscapes」(Museum Schloss Moyland、ドイツ、2005)、「JP-22」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡、2006)、「世界・表層・時間」(IZU PHOTO MUSEUM、静岡、2012)、「gazetteer」(TARO NASU、東京、2018)など。18年に初の美術館回顧展「松江泰治 地名事典|gazetteer」(広島市現代美術館)が開催された。